2010年5月21日、国家発展改革委員会(NDRC) は中国民用航空局と「民用航空国内線ファーストクラスとビジネスクラスの料金改革を推進する」通知を発表しました。通知によると、6月1日から、従来の国内航空線の政府指導価格を廃止し、各航空会社が自らの料金設定をすることが出来ます。これまで、中国国内線のファーストクラスとビジネスクラスの料金は、エコノミークラスの1.5倍を上限とする政府指導価格がありました。価格制限が廃止されれば、各航空会社はファーストクラスとビジネスクラスの料金を引き上げ、サービスの質を向上でき、結果として利益が拡大すると予測されています。
たとえば、中国国際航空(0753)ですが、もしも国内線のファーストクラス料金が20%引き上げられれば、同社の利益が5億元拡大できるとの試算があります。実際のところ、国際航空会社の利益を見てみると、ファーストクラスとビジネスクラスの料金による利益貢献度が比較的高いのに対して、中国系航空会社の利益水準はエコノミークラスの収益に左右されます。また、短期的には、国際原油価格の値下がりも航空株にとって好材料です。国家発展改革委員会(NDRC)によると、中国は6月1日付けでジェット燃料の向上渡し価格を1トンあたり220元引き下げて5,470元としています。その他でも、ユーロ下落で時期的には遅くなる予想がありますが、人民元切り上げ観測も航空会社にとってプラスです。もしも切り上げとなれば、外貨建ての負債が多い航空会社は負債圧縮につながるからです。これは、航空関連株が注目されるキッカケになるかの可能性もあり、注目したいところです。
ちなみに航空業界の業界再編は一段と進んでいます。2010年3月21日、中国国際航空(0753)は中国5位の深セン航空の筆頭株主となることを明らかにしました。深セン航空は国内航空市場全体では約6%のシェアで市場5位ですが、深セン市場では、30%のシェアで市場トップ。なお、深セン市場では、南方航空(1055)は28%のシェアで2位、中国国際航空は13%のシェアで3位です。現在、中国国際航空は北京と成都でトップシェアを握っていますが、今回の取引が完了すれば、深セン市場でのシェアが43%となり、深セン市場でも1位となります。そして、広州市場でのシェアも10%から20%にまで上昇し、南方航空に次ぐ広州市場の2位となります。東方航空(0670)は上海航空を統合してから、資産規模でトップの航空会社となりましたが、深セン航空の今回の買収が完了すれば、資産と売上規模ベースで、中国国際航空が三大航空会社のトップとなります。 それぞれの航空会社には特色がありますので、いろいろと調べてみて、自分が面白いと思う航空会社に投資されるのもいいでしょう。香港上場の大手航空会社には上記の他に、中国国際航空も資本参加していて香港トップの航空会社であるキャセイパシフィック(0293)があり、航空関連の銘柄としては北京空港を一手に運営する北京首都国際空港(0694)や空港旅客処理システムで圧倒的なシェアを握る民航信息網路(0696)があります。