NYダウ: 23539.19 △22.93 (11/3)
NASDAQ: 6764.44 △49.49 (11/3)
【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>
1.概況
2日の米国市場は高安まちまちとなるなか、ダウ平均が史上最高値を更新しました。ダウ平均は取引開始しばらくして84ドル安まで売られましたが、切り返すと午後はプラス圏での推移となり取引終盤にトランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)の次期議長にパウエル理事を正式に指名したことを受けてFRBが金融政策の正常化を緩やかに進めるとの期待から上げ幅を広げる展開となりました。一時100ドル高近くまで買われたダウ平均は結局81ドル高の23,516ドルと3日続伸となり、24日に付けた史上最高値を7日ぶりに更新して取引を終えています。また、S&P500株価指数も0.4ポイント高の2,579ポイントと3日続伸となっています。一方で一部の主力ハイテク株が売られたことでハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は1ポイント安の6,714ポイントと続落となっています。先週末の米国市場は失業率や米ISM非製造業景況感指数の改善を受けて上昇し、主要3指数が揃って史上最高値を更新しました。朝方に34ドル安まで下落する場面もあったダウ平均ですが、徐々に買いが優勢になると午後は小幅高での推移となりました。一時40ドル高まで買われたダウ平均は取引終盤で弱含む場面もありましたが前日終値近辺で底堅さをみせると結局22ドル高の23,539ドルと4日続伸となり、前日に続いて史上最高値を更新して取引を終えています。また、S&P500株価指数も7ポイント高の2,587ポイントと4日続伸となり、先月27日に付けた史上最高値を更新しています。さらにナスダック総合株価指数も49ポイント高の6,764ポイントと3日ぶりに反発し、こちらも先月31日に付けた史上最高値を更新しています。
2.経済指標等
2日に発表された先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比5000件減の22万9千件となり悪化を見込んでした市場予想に反して改善しました。また、7-9月期の米労働生産性指数速報値も前期比年率3%上昇し市場予想を上回りました。先週末に発表された10月米雇用統計で非農業部門雇用者数は26万1000人増となりましたが市場予想を下回っています。平均時給も前年同月比2.4%増に止まり市場予想を下回りましたが、失業率は前月から0.1ポイント低下の4.1%となり2000年12月以来16年10カ月ぶりの低水準となっています。また、10月の米ISM非製造業景況感指数は60.1と前月から上昇し2005年8月以来12年2カ月ぶりの高水準となり市場予想も上回りました。9月の米製造業受注も前月比1.4%増となり市場予想を上回っています。9月の米貿易収支の赤字額は前月比1.7%増の4350億ドルとなり市場予想を上回る赤字となっています。
3.業種別動向
2日の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうち電気通信サービスや一般消費財・サービスや素材などの6業種が下げ、電気通信サービスは1%安となっています。一方で不動産や金融、資本財・サービスなどの5業種が上げています。先週末の米国市場で業種別S&P500株価指数は全11業種のうち情報技術やヘルスケア、公益事業などの6業種が上げました。一方で金融や素材、電気通信サービスなどの5業種が下げています。
4.個別銘柄動向
2日の米国市場では、決算が市場予想を上回った外食のヤム・ブランズ(YUM)が大幅高となったほか、同じく決算が市場予想を上回った衣料のラルフローレン(RL)も買われました。一方で決算が市場予想を下回り、通期の業績見通しを下方修正した日用品のニューウェル・ブランズ(NWL)が急落し、新型量産車の生産台数の目標達成が遅れるとの見通しを示した電気自動車のテスラ(TSLA)も大幅安となっています。決算と併せて人員削減を含むリストラ計画を発表したダウ・デュポン(DWDP)も2%近く下げ、ダウ平均構成銘柄で下落率トップとなっています。フェイスブック(FB)は決算で売上高や1株利益が市場予想を上回ったものの、不法な広告や投稿への対策費用が膨らむとの懸念が浮上し2%安となりました。先週末の米国市場では、アップル(AAPL)が2%を超える上昇となり上場来高値を更新しました。決算が市場予想を上回ったうえ、iPhoneXの好調を織り込み10-12月期の売上高が四半期として過去最高を更新する強気の見通しを発表したことが好感されました。アップルはダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなり、ダウ平均を1銘柄で30ドル押し上げました。また、市場予想を上回る決算を受けて目標株価の引き上げが相次いだモトローラ・ソリューションズ(MSI)も4%を上回る上昇となっています。さらに半導体のブロードコム(AVGO)が同業のクアルコム(QCOM)の買収を検討していると報じられクアルコムが13%近く上昇し、ブロードコムも5%以上の大幅高となっています。一方で決算がハリケーン関連の保険金支払いで赤字となった保険のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が4%を上回る下落となっています。
5.為替・金利等
2日の長期金利は0.03%低い2.34%となりました。先週末の長期金利は比0.01%低い2.33%となりました。ドル円は114円近辺で推移しています。
【VIEW POINT: 今日の視点】
先週末の米国市場で主要3指数が揃って史上最高値を更新したことから本日の日本市場は上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか25日移動平均線とのかい離率が6%に近づいている日経平均がどこまで上値を伸ばせるかが注目されますが、1996年に付けたバブル崩壊後の戻り高値(22,666円)を試すような展開がみられるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)