1.概況
本日の日本市場は小幅に反落しました。トランプ米政権が発表した税制改革案が具体性に欠け、目新しさもなかったことなどから米国市場が小幅反落となったうえ、ドル円も引き続き111円台前半で推移するなど新たな買い材料に乏しいなか、日経平均は昨日までの4日間で850円以上上昇していることもあって利益確定の売りが出て83円安と反落して寄り付きました。その後、日経平均は下げ幅を縮め小幅安で推移すると取引終了間際には7円安まで持ち直す場面もありましたが、プラスに転じることはなく結局37円安の19,251円と5日ぶりに反落して取引を終えています。こうしたなか日経平均は一日を通して小動きで、現状維持となった日銀の金融政策決定会合の結果にも目立った反応はなく、一日の値幅は82円に止まりました。一方で新興市場は堅調で、東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均はともに3日続伸となっています。
2.個別銘柄等
ヤフー(4689)が9.5%安と急落しました。2017年3月期の最終損益が会計基準変更の影響を考慮しなければ1997年の上場以来初の減益となったことが嫌気されました。LINE(3938)も7.9%安と大きく下げました。第1四半期(2017年1-3月期)の営業利益が前年同期比25%減と大幅減益となったことで売りがかさみ一時は10%安となる場面もありました。ルネサスエレクトロニクス(6723)も8.2%安ときつい下げとなりました。7割を出資する産業革新機構が5月にも2割弱の株式を売却すると報じられたことに加え、ルネサスエレクトロニクスが年内にも数千億円の公募増資に踏み切るとも伝わり一時は11%安近くまで売られました。2017年3月の業績予想を下方修正した三菱重工業(7011)も2.9%安と大きく下げています。商船のコスト悪化やMRJの開発費増加などから営業利益の見通しを2400億円から1500億円へと大幅に引き下げたことで売られました。一方でキヤノン(7751)が3.7%高となり年初来高値を更新しました。第1四半期(2017年1-3月期)の営業利益が前年同期比9割近い増益となり、通期の営業利益の見通しも上方修正したことから買われました。市場予想を上回る強気の業績予想を発表した日立建機(6305)も2.9%高としっかりでした。
【VIEW POINT: 明日への視点】
日経平均は年度末の3月31日に昨年11月以降のトランプラリーで初めて一目均衡表の雲を下に抜けると、その後調整色をやや強めました。しかし、昨年11月9日の安値(16,111円)と3月2日の高値(19,668円)の38.2%押しに当たる18,309円を小幅に下回ったところで下げ渋ると切り返し、昨日は雲の下限を上回ってきました。薄い雲だけにこのまますんなりと雲を上に抜ける展開もありそうですが、仮に雲の中から抜けることになれば高値トライへの期待が一段と高まりそうです。なお、明日は数多くの決算発表が予定されています。取引時間中や昼休み時間中には海運大手3社や三菱電機(6503)、デンソー(6902)などが、そして取引終了後には信越化学工業(4063)や新日鉄住金(5401)、ソニー(6758)、ホンダ(7267)などが決算を発表する予定です。
( マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之 )