1.概況
本日の日本市場は115円台を付けた円安を好感して大幅続伸となりました。126円高の19,444円で寄り付いた日経平均は取引開始後10分余りで19,500円台に乗せるとその後もじりじりと上げ幅を広げました。昨年来高値(19,594円)の前で一旦上値が重くなった日経平均ですが、14時前に昨年来高値を上回るとさらに上値を伸ばし引け間際には305円高の19,623円まで買われました。結局、日経平均は286円高の19,604円と続伸し1月4日に付けた昨年来高値を更新して取引を終えています。東証1部の売買代金はメジャーSQということもあって2兆9483億円と膨らんでいます。新興市場は本日も堅調で東証マザーズ指数が反発したほか、日経ジャスダック平均は2004年1月以来の21連騰となり、年初来高値を本日も小幅に更新しています。
2.個別銘柄等
米長期金利の上昇を受けて生保株が買われました。国内大手証券による目標株価と投資判断の引き上げもあり第一生命ホールディングス(8750)が3.5%高、T&Dホールディングス(8795)が5.0%高となりました。メガバンクも堅調で、三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)が1.7%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が1.6%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)が1.3%高となりました。原油安メリットで空運株が買われました。ANA(9202)が3.6%高、自社株消去を発表したJAL(9201)は1.7%高となっています。ソニー(6758)も3.7%高と大きく上げています。米格付け会社が長期会社格付けを「トリプルB」に1段階引き上げたことで財務面の不安が後退し買われました。ファーストリテイリング(9983)はSQに絡んだ売買で小幅に下げて寄り付きましたが、直ぐにプラスに転じると日経平均が大きく上げるなか上げ幅を広げ2.2%高となりました。大塚ホールディングス(4578)も国内証券による目標株価の引き上げで5.0%高と大きく上げています。一方で昨日の引け後に第1四半期(2016年11月-2017年1月期)の決算を発表し営業利益が8割を超す減益となった農薬専業のクミアイ化学(4996)が6.3%安と大きく下げ東証1部で下落率2位となっています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
本日の日経平均は1月4日に付けた昨年来高値をおよそ2カ月ぶりに更新しました。今晩から来週にかけて重要イベントが目白押しで、その直前だけに意外感はありますが、昨年来高値を前に押し返される展開が続いてきただけに、ついにといった感じです。これで日経平均は上値余地が広がり20,000円への期待が高まりますが、大台回復には重要イベントで一段と円安が進むかがポイントとなりそうです。こうしたなかまずは本日の日本時間22時30分に発表される米雇用統計が注目されますが、非農業部門雇用者数20万人増、失業率4.7%、平均時給の前年同月比2.8%増がコンセンサスとなっています。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)