1.概況
本日の日本市場は円安を好感して反発しました。89円高の19,343円で寄り付いた日経平均は100円高近くまで小幅に値を伸ばしましたが、上値が伸び悩むと11時過ぎには前日終値近辺まで上げ幅を縮めました。しかし、マイナスに転じることなく下げ渋ると切り返し13時半過ぎには72円高まで持ち直しました。ただ、後場も上値は重く小幅高で推移した日経平均は64円高の19,318円と5日ぶりに反発して取引を終えています。昨日に2兆円を回復した東証1部の売買代金ですが、後場の値幅が50円弱と小幅に止まるなど小動きとなるなか本日は2兆円を割り込み1兆8791億円となっています。新興市場では東証マザーズ指数が小幅に反落となりましたが、記録的な連騰を続ける日経ジャスダック平均は本日も上昇し20日続伸となり連日で昨年来高値を更新しています。

2.個別銘柄等
原油安と円安で買われる銘柄がみられました。原油在庫が市場予想を大幅に上回って増えたことを嫌気した原油価格の下落を受けて横浜ゴム(5101)やブリヂストン(5108)が上昇しました。横浜ゴムが3.7%高と大きく上げたほか、ブリヂストンも2.1%高となり、ともに昨年来高値を更新しました。業種別株価指数でゴム製品は上昇率トップとなっています。円安で自動車株も総じてしっかりでした。昨日に投資判断の引き下げで7日ぶりの反落となった日産(7201)は続落となりましたが、トヨタ(7203)が1.0%高、ホンダ(7267)が0.1%高、マツダ(7261)が0.8%高と上値が重いながらも堅調な銘柄が目立ちました。ストップ高となったのがICリードフレーム大手の三井ハイテック(6966)で外資系証券が新規に強気の投資判断を付けたことで買いを集めました。マブチモーター(6592)も国内大手証券が目標株価を引き上げたことで3.6%高と大きく上げています。さらにジャフコ(8595)は2017年3月期決算から株主資本の3%をメドに配当すると発表したことで4.9%高となりました。一方で東芝(6502)が7.2%安と大きく下げました。米国で手掛ける原発4基の建設工事を2020年末までに終えられなければ工事費用の増加と別に新たな損失が最大数千億円規模で生じる可能性があると伝わったことや、14日までに決算発表ができるかどうか社内で五分五分との見方が出ていると伝わったことも嫌気されました。昨日まで11連騰となり上場来高値を更新していたJR九州(9142)も利益確定の売りが出て4.2%安と大きく下げています。

【VIEW POINT: 明日への視点】
昨日に25日移動平均線を試し底堅さを確認した日経平均ですが、多くの重要イベントを控え積極的に買い上がれないこともあって本日は5日移動平均線(19,353円)で上値を押さえられました。明日は3ヵ月に一度のメジャーSQで、SQを波乱なく通過できるか注目されますが、SQ通過後は明日も様子見の強い一日となりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)