1.概況
本日の日本市場は昨日の米国市場で主要3指数が揃って史上最高値を更新し、ダウ平均が300ドルを超す上昇から初めて21,000ドル台を付けたうえ、ドル円も114円台を付けるなど一段と円安が進んだことから続伸となりました。231円高の19,624円と大きく上昇して寄り付き取引開始後15分余りで274円高まで買われた日経平均は、しばらく19,600円近辺で揉み合いましたが、昨年来高値(19,594円)が意識されるなか徐々に上値が重くなり13時前ごろからは19,600円を小幅に下回っての推移となりました。結局、日経平均は171円高の19,564円と3日続伸で取引を終えています。こうしたなか新興市場は本日も堅調で東証マザーズ指数が小幅に9日続伸となったほか、14連騰から昨日に約25年8カ月ぶりに3,000円の節目を回復した日経ジャスダック平均は本日も小幅に上昇し15日続伸となりました。

2.個別銘柄等
米FRB高官による相次ぐタカ派発言で米長期金利が上昇し昨日の米国市場でJPモルガン・チェース(JPM)やゴールドマン・サックス(GS)などの金融株が上昇した流れを受けて日本市場でもメガバンク株や生保株が買われました。三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)が1.9%高となったほか、第一生命ホールディングス(8750)が4.0%高となり大きく上げています。トランプ米大統領が昨日の議会演説でインフラ整備に官民の資金1兆ドルを投資するための法律の制定を議会に求めたことで非鉄金属の需要が高まるとの見方から非鉄大手が買われました。三井金属鉱業(5706)が5.2%高、住友金属鉱山(5713)が2.6%高、三菱マテリアル(5711)が3.0%高となり、三井金属鉱業は昨年来高値を更新しました。そのほか14.7%高と急伸したのがワコム(6727)で、国内大手証券が投資判断に加え、目標株価を大幅に引き上げたことが好感されました。円安を受けて自動車株も買われましたが、2月の米新車販売台数が前年同月比7.2%減となったこともあってトヨタ(7203)は4円高と小幅な上昇に止まっています。大きく下げたのが昭和電工(4004)で、子会社の会計処理に絡み決算発表を再延期すると発表したことが嫌気され7.1%安となりました。明日に新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の発売を控えている任天堂(7974)はニンテンドースイッチへの期待が高くないこともあってか1.8%安と下げています。

【VIEW POINT: 明日への視点】
TOPIXは2月22日に付けた昨年来高値を更新しましたが、日経平均は1月4日の昨年来高値にわずかに届きませんでした。昨年来高値を上回る場面もみられましたが、後場に上値が伸び悩むと昨年来高値を下回っての引けとなりました。日経平均は19,500円近辺で押し返される展開が続いてきただけに、今回こそ19,500円台をキープし昨年来高値を上回れるか注目されますが、こうしたなかでトランプ米大統領の議会演説といった重要イベントを通過したことでマーケットの関心は再び米国の金融政策に向かいそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)