1.概況
本日の日本市場は円高一服を受けて反発しました。40円高の18,951円で寄り付いた日経平均は70円高余りまで上昇する場面もありましたが、節目の19,000円を前に上値を押さえられると上げ幅を縮め10時半過ぎにはマイナスに転じました。その後、昨日終値を挟んで小幅に揉み合う時間がしばらく続きましたが、13時頃から買いが優勢になると引けにかけて一段高となり結局96円高の19,007円と5営業日ぶりに節目の19,000円を回復しほぼ高値引けで取引を終えています。ただ、東証1部の売買代金は1兆9826億円と7営業日ぶりに2兆円を割り込んでいます。また、新興市場では東証マザーズ指数が反発し、日経ジャスダック平均が3日続伸となっています。
2.個別銘柄等
旭硝子(5201)が9.1%高と急伸し、昨年来高値を更新して2011年8月以来およそ5年半ぶりに900円台を回復しました。コンセンサス予想を大きく上回る2017年12月期の業績予想を発表したことや、100億円を上限とする自社株買いを発表したことが好感されました。マブチモーター(6592)も2016年12月期の業績予想と期末配当を引き上げたことで6.8%高となっています。そのほか決算を受けて買われたのが大陽日酸(4091)やタカラトミー(7867)で、大陽日酸は2017年3月期の営業利益見通しを520億円から550億円へと引き上げたことで9.5%高と急伸し昨年来高値を更新しています。タカラトミーは通期の営業利益を40億円から70億円に上方修正したことで6.8%高と大きく上昇しています。反対に決算で売られたのが住友金属鉱山(5713)や本日の前場に決算を発表したクラレ(3405)で、住友金属鉱山はチリの銅鉱山に絡んで減損損失を計上し最終赤字となる見通しとなったことで、クラレは2017年12月期の業績予想が市場予想を下回ったことで大きく下げています。決算絡み以外では、目標株価の引き上げを受けて半導体製造装置のSCREENホールディングス(7735)が7.0%高と大きく上げ昨年来高値を更新した一方で、株式持ち合いを見直し相互に保有する株式を売却する方針を決定したと発表した富士電機(6504)と富士通(6702)が下げ、富士通は3.8%安となりました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
円高一服を受けて本日の日経平均は節目の19,000円を回復しました。10日に安倍首相とトランプ米大統領の日米首脳会談を控え、一段の円高や保護貿易主義への警戒などから週内はなかなか強気になれそうにありませんが、こうしたなかで節目を回復した日経平均がこのところ上値を押さえられている一目均衡表の雲の上限や25日移動平均線を抜けてくるような展開を明日、明後日でみせるのかが注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)