1.概況
本日の日本市場は小幅に反発しました。円高の一服を受けて82円高の18,996円で寄り付いた日経平均はまもなく節目の19,000円を回復すると上げ幅を150円近くまで広げましたが、長期金利の上昇を受けてドル円が112円台半ばまで円高となったことで11時20分過ぎにはマイナスに転じ80円安余りまで下落しました。70円安の18,843円で前場の取引を終えた日経平均は、46円安と引き続きマイナス圏で後場の取引をスタートさせましたが、日銀があらかじめ決まった価格で無制限に国債を買い入れる指し値オペ(公開市場操作)の実施を通知し長期金利が低下したことからドル円が113円台前半まで円安に振れたことで再びプラスに転じ19,000円を回復し125円高まで買われました。19,000円を小幅に上回ったところで上値を押さえられた日経平均は上げ幅を縮めると、その後昨日終値を挟んで小幅に揉み合う展開となり結局3円高の18,918円とほぼ横ばいで取引を終えています。また、新興市場では東証マザーズ指数が4日ぶりに反発する一方で、日経ジャスダック平均が続落となっています。

2.個別銘柄等
決算発表が本格化するなか決算に反応する銘柄が目立ちました。ソニー(6758)はDVD販売の悪化を受けて映画事業で減損損失を計上したことで業績予想を下方修正したものの、スマホ向け画像センサーが好調で半導体部門の営業利益が大きく伸びたことなどを評価した買いが入り5.0%高となり昨年来高値を更新しました。また、第2四半期まで減益だった営業利益がこの第3四半期に増益に転じ、通期の業績予想も引き上げた住友電気工事(5802)も5.9%高と大きく上げ、同じく通期の業績予想を上方修正したフジクラ(5803)は12.4%高と急伸しています。反対に業績予想を下方修正したマツダ(7261)や神戸製鋼所(5406)が下げ、マツダが昨年来安値を更新したほか、神戸製鋼所は6.8%安と大きく下げています。決算絡み以外では、昨年発売した最上位機種の発火事故でスマホ販売が低迷している韓国のサムスン電子が今春発売予定の新型スマートフォンに採用する充電池の調達について協議を始めたことの報道を受けて村田製作所(6981)が4.5%高と大きく上げました。その一方でサムスンと村田製作所の協議次第で子会社の充電池が採用されなくなる可能性があると伝わったTDK(6762)が2.3%安と下げています。任天堂(7974)は昨日から配信を開始したスマホ向けゲーム「ファイアーエムブレムヒーローズ」のダウンロード数が日本のアップルストアで1位となるなど好調なスタートを切ったことが好感され6.3%高と大きく買われ売買代金トップとなりました。スマホ向けゲームで任天堂と提携するディーエヌエ(2432)も3.5%高となっています。

【VIEW POINT: 明日への視点】
日経平均はドル円の動向に神経質な展開が続いています。本日もドル円の動きに翻弄される格好でプラス圏とマイナス圏を行ったり来たりとなりました。こうしたなかで今晩は米国で1月の雇用統計が発表されます。18万人程度の増加が見込まれる非農業部門雇用者数や、前年比2.8%の伸びが見込まれている平均時給などが強い数字となってこのところの円高の流れを止めるきっかけとなるかが注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)