1.概況
本日の日経平均は327円安の1万9041円と大幅に続落しました。TOPIXやJPX日経400,新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて下落しました。トランプ米大統領が発した中東やアフリカなどの7カ国からの入国を制限する大統領令に国内外で反発が高まっていることが嫌気され、昨日の米国市場でダウ平均は120ドル超下落しました。米国株安に加えてドル円が113円台まで円高に振れたことも嫌気され日経平均は223円安と大きく続落して寄り付きました。日経平均は寄り付き後に徐々に持ち直し、10時過ぎに下げ幅を170円足らずまで縮めましたがその後再び下げ幅を拡大し前場を257円安で終えました。お昼休みの時間帯に日銀が金融政策の現状維持を決定しましたが、事前の予想通りだったため外国為替市場の反応は限定的でした。日経平均は後場寄りから一段安になるとまもなく下げ幅を300円超まで広げました。日経平均はその後やや持ち直す時間帯もあったものの引けにかけて再び弱含み結局安値引けとなりました。東証1部の売買代金は2兆4867億円と昨日から大きく増加しました。東証33業種は全業種が値下がりし、電気・ガス業や鉄鋼、海運業などの下げが大きくなりました。

2.個別銘柄等
昨日の大引け後に通期の業績予想を大きく下方修正したNEC(6701)が17%超の大幅安となりました。富士通(6702)もNECの低調な決算を受け業績懸念が広がり5%安と連れ安となっています。また、筆頭株主のソニー(6758)が保有株を売却すると発表した医療従事者向け情報サイトを運営するエムスリー(2413)は株式の需給悪化懸念などから5%安と大きく下落しました。一方で昨日発表した平成28年12月期決算が前期比3.9%の営業増益で、今期の業績予想を増収増益と発表したキヤノンマーケティングジャパン(8060)は堅調な業績が好感されて11%の大幅高となっています。さらに本日の取引時間中に4-12月期の決算発表を行ったヤクルト本社(2267)は前年同期比9.1%の営業減益となりましたが、10-12月の3ヶ月では前年同期比営業増益となるなど業績の底堅さが好感され発表後の株価は大きく上昇し7%高となりました。

【VIEW POINT: 明日への視点】
入国禁止措置の大統領令に従わないよう求めた米司法長官代理をトランプ大統領が解任するなどの混乱が広がったことを受け日経平均は大幅続落となりました。これまではトランプ大統領の経済政策への期待から株価は大きく上昇してきましたが、大統領の強権的な姿勢への懸念が広がっている格好で、マーケットの反発には早期の混乱収束が求められそうです。

(マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 益嶋 裕)