1.概況
本日の日本市場は米国市場で前日に初めて20,000ドルの大台を突破したダウ平均が小幅ながら史上最高値を引き続き更新したことや、ドル円が一時115円台を付けるなど円安に振れたことを受けて続伸となりました。51円高の19,453円で寄り付いた日経平均は、週末ということや昨日までの2日間で600円以上上昇していたこともあって利益確定の売りも出やすく節目の19,500円を前に上値を押さえられたものの、昨日終値近辺で底堅さをみせると19,400円台で小幅な値動きのなか一日を通して堅調に推移しました。日経平均は65円高の19,467円と3日続伸となっています。また、新興市場では東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が小幅に下げ、東証マザーズ指数は6日ぶりに反落となったほか、日経ジャスダック平均も8日ぶりの反落となっています。
2.個別銘柄等
昨年12月に孫正義社長がトランプ大統領と会談し、今後4年で500億ドルを投じて5万人の雇用を創出すると約束して以降、株価が水準を切り上げているソフトバンクグループ(9984)が一時1%以上上昇し約3年ぶりに9,000円を回復する場面がありました。また、第3四半期の営業利益が通期予想を大幅に上回る伸びとなったエムスリー(2413)は9.2%高と急伸しました。メモリー半導体事業の分社化を取締役会で決議した東芝(6502)は後場に一時上げ幅を広げています。昨日の取引終了後に決算を発表し今期3度目の上方修正を行ったファナック(6954)は上方修正した営業利益がコンセンサス予想に届かなかったことや、昨日までの2日間で株価が6%余り上昇し昨年来高値を付けていたこともあってマイナス圏での推移が続きましたが、引けでプラスに転じると小幅に上げて取引を終えています。一方で同じく通期の業績予想を上方修正したアドバンテスト(6857)は買い優勢でスタートしましたが、昨日に高値を付けていたこともあって買いが続かず一時4%安と大きく下げるなど軟調となりました。そのほか動画配信サービスなど新規事業への先行投資が重荷となり第1四半期(2016年10-12月期)の営業利益が50%を超える減益となったサイバーエージェント(4751)と、通期の当期利益を下方修正した日立国際電気(6756)がともに6%を超える下落となっています。ドル円が円安に振れたにも関わらず自動車株にはトヨタ(7203)など下落するものがみられました。米大統領の報道官がメキシコなどの輸入品に関税を課すと発言したことが嫌気されました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
昨日に25日移動平均線を回復したことに加え、20日のネックラインを上回りダブルボトムも完成したことで年明け以降の調整に一巡感が出ている日経平均は、本日も円安を支援材料に利益確定の売りをこなして続伸となりました。こうしたなか日経平均は20,000円の大台回復が期待されますが、来週以降本格化する決算発表で企業業績への期待が高まれば上昇にさらに勢いがつく可能性もありそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)