1.概況
本日の日本市場は円安を受けて続伸となり、日経平均は節目の19,000円を3日ぶりに回復しました。イエレンFRB議長が昨日の講演で2019年までは年2-3回の利上げが適当との認識を示したことでドル円が114円台を付け円安に振れたことで日経平均は188円高の19,082円で寄り付きました。まもなく228円高の19,122円まで買われた日経平均はしばらく高値圏で推移しましたが、後場に入ると上げ幅を二桁に縮め一時19,000円を小幅に割り込む場面もありました。しかし、直ぐに19,000円を回復すると14時半前には前場の高値の一歩手前まで上げ幅を再び広げました。その後上げ幅を小幅に縮めた日経平均は177円高の19,072円で取引を終えています。また、新興市場では東証マザーズ指数が反落となる一方で、日経ジャスダック平均が小幅続伸となっています。
2.個別銘柄等
円高一服を受けて主力銘柄に物色が向かうなか高値を付ける銘柄がみられました。昨日に約9年半ぶりに上場来高値を付けた信越化学工業(4063)が本日も高値を更新したほか、本日は安川電機(6506)も大幅高から上場来高値を更新しています。日本電産(6594)や3%以上上昇したファナック(6954)も昨年来高値を付けています。また、新たなスマホ向けゲームをガチャ(有料の電子くじ引き)型の課金システムで2月2日から配信を開始すると発表した任天堂(7974)が一時2.7%高となったうえ、任天堂の新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ」のタッチスクリーンパネルを独占供給すると伝わったジャパンディスプレイ(6740)は買いが続かず1円安で取引を終えたものの、一時は6%高まで買われる場面がありました。一方、米原子力事業で発生する損失が最大で5000億円を超える可能性が出てきたことで日本政策投資銀行に資本支援を要請したと報じられた東芝(6502)が16%安と急落し売買代金トップとなりました。調査会社のウェル・インベストメンツが昨日終値を6割近く下回る500円を適正株価とする売り推奨のレポートを発表したことでユーグレナ(2931)も大幅安となっています。さらに有力スポンサー候補2陣営がいずれも法的整理を提案していることが明らかになったとの報道を受けて前場に売買停止となっていたタカタ(7312)は後場に取引を再開しましたが、売りがかさみストップ安となりました。
【VIEW POINT: 明日への視点】
昨日に一時112円台半ばまで円高が進んだドル円は本日114円台と円安に振れたことで一目均衡表の雲の上限をサポートに切り返す格好となっています。このためこのところの円高の流れに一旦ブレーキがかかる可能性もありそうで、仮にそうなれば円高を受けて下落基調が続いていた日経平均も調整一巡となりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)