1.概況
本日の日経平均は66円安の1万9454円と続落しました。TOPIXやJPX日経400、新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて下落しました。昨日の米国市場は主要指数が高安まちまちで支援材料になりにくいなか、ドル円が115円台まで円高に振れたことが嫌気され日経平均は127円安と続落して寄り付きました。日経平均は寄り付き後にやや下げ幅を広げましたが、ドル円がやや円安に戻したこともありその後は徐々に値を戻しました。前場を78円安で終えた日経平均は後場に入って再びやや下げ幅を広げる場面もありましたが持ち直すと1日の高値圏で取引を終えています。東証1部の売買代金は2兆3537億円となりました。東証33業種はサービス業やパルプ・紙、陸運業、情報・通信業など内需ディフェンシブセクターを中心に14業種が上昇した一方で鉄鋼や非鉄金属など19業種が下げています。

2.個別銘柄等
ソフトバンクグループ(9984)が東証1部の売買代金トップの商いを集めて2.6%高と上昇し昨年来高値を更新しました。その他の売買代金上位銘柄は冴えない値動きが目立ちました。トランプ次期大統領にメキシコの工場建設計画を批判されたトヨタ自動車(7203)は1.7%安となりました。また、12月の既存店売上高が前年同月比5%減と冴えなかったファーストリテイリング(9983)は6.7%安となり日経平均を110円押し下げています。一方、自動運転分野で日産自動車(7201)と提携すると発表したディー・エヌ・エー(2432)は4.1%高と大きく上昇しました。その他材料が出たところでは、昨日第3四半期の決算発表を行った良品計画(7453)が1.5%安となりました。9-11月の3ヶ月の営業利益の伸びが前年同期比0.8%の増益と、6-8月期の27.8%増益に比べて大きく鈍化したことが嫌気されたようです。

【VIEW POINT: 明日への視点】
一時170円安近くまで下げ幅を広げた日経平均ですがその後持ち直し底堅さを印象づける結果となりました。ファーストリテイリングの下げがなければ実質的にはプラスと見ることもできます。日本時間今夜22時半に米雇用統計が発表されます。12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりの利上げが決定されるとともに、2017年には計3回の利上げが行われる見込みであることが示唆されました。ただ、実際には経済動向次第で利上げペースは柔軟に変更されると考えられ、その重要な判断材料の1つが今夜の雇用統計ということになります。市場予想では非農業部門雇用者数が前月から17.5万人増、平均時給が前年比2.8%の上昇と堅調な内容になると見込まれています。市場予想を大きく上回ればドル高要因になるとみられますが、市場予想に達しなかった場合には足元までの金利上昇やドル高のペースが急だっただけに、一時的な調整要因となる可能性もあり注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)