1.概況
本日の日経平均はドル円で116円台前半まで進んだ円高を嫌気して反落となりました。昨日の米国市場は続伸となったものの、寄り付き前にドル円が117円近辺まで円高となったことから日経平均は7円高とわずかに上昇して寄り付きました。寄り付き後直ぐにマイナスに転じた日経平均は朝方こそプラスとなる場面もありましたが、昨日終値を小幅に上回ったところで上値を押さえられるとドル円が116円台を付け一段と円高が進んだことで徐々に下げ幅を広げる展開となりました。後場に入って120円安まで売られた日経平均ですが19,500円を小幅に下回ったところで下げ渋ると節目の19,500円を上回って73円安の19,520円と二桁の下げで取引を終えています。一方で時価総額の大きいメガバンクがしっかりだったこともあってTOPIXは小幅に続伸となっています。また、新興市場では東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が3日続伸となり、そーせい(4565)やサイバダイン(7779)、ミクシィ(2121)など時価総額の大きい銘柄が買われたことで東証マザーズ指数は3%近い上昇となっています。
2.個別銘柄等
ドル円が円高となったこともあって内需関連株に買いが入りやすくしっかりとなるものが目立つなか、昨年12月の百貨店事業の売上高が対前年比で2.3%減となったものの、工事中の心斎橋大丸を除けば0.3%増と前年を上回ったことからJフロントリテイリングス(3086)が3%を超える大幅高となりました。また、2016年3-11月期の営業利益が年同期比5%増の850億円前後になったようだと伝わったイオン(8267)も一時2%近く上げたうえ、昨年12月の既存店売上高が前年同月比2.3%増だったと発表したドラッグストアのカワチ薬局(2664)が5%以上上昇しています。材料がでたところでは半導体大手の米エヌビディア(NVDA)と協力して自動運転車のために日本の高精度3次元地図データシステムを開発すると発表したゼンリン(9474)がストップ高となり、台湾の鴻海精密工業と共同出資する堺ディスプレイプロダクトの新規株式公開(IPO)を検討すると伝わったシャープ(6753)が11%近く上げ急伸しています。そのほか富士通(6702)やピジョン(7956)は目標株価の引き上げを好感して買われています。一方で米大手ファンドが保有する株を追加的に売却したことが大量保有報告書から明らかとなった任天堂(7974)が一時2.5%近く下げる場面がありました。
【VIEW POINT: 明日への視点】 昨年12月後半の調整局面で25日移動平均線にサポートされて切り返してきた日経平均は昨日の大幅高で抵抗線となっていた5日移動平均線をしっかりと上回ったことで上値余地が広がる格好となっています。こうしたなかで本日の日経平均が先高期待もあって一時ドル円で昨日から2円余りも円高が進んだ割には下げ渋り底堅さをみせただけに、上値を押さえてきた短期的な過熱感も徐々に解消していることから20,000円の大台回復を目指す展開が期待されそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケットアナリスト 金山 敏之)