2010年1月4日、不動産サービス会社である易居中国(EJ)、中国房産情報集団(CRIC)、中国不動産評価センターは、共同で、2009年中国不動産企業の販売ランキングを発表しました。1位は万科企業(200002)、販売金額は630億元です。以下、2位、緑城中国(3900)、510億元。3位、保利地産(中国本土A株上場)、430億元。4位、中国海外発展(0688)、413億元。5位、緑地集団(未上場)、360億元。6位、恒大地産(3333)、307億元。7位、華潤置地(1109)、249億元。8位、富力地産(2777)、241億元。9位、世紀金源(未上場)、236億元。10位、碧桂園(2007)、212億元。ちなみに、10位以降の上位20社を見ても、日本人でも投資できる会社がいくつもあります。例えば、12位の世茂不動産 (0813)、198億元。13位、龍湖地産(0960)、187億元。15位、雅居楽(3383)、164億元。16位、招商地産(200024)、157億元。17位、合生創展(0754)、150億元。18位、遠洋地産(3377)、137億元。

各社の販売金額は2008年より大きく拡大しています。2008年には、販売金額が100億元を超える企業数は12社でしたが、2009年はトップ20社の販売金額が全て100億元を超えています。そして、トップ10社の販売金額はともに200億元を超えており、トップ20社の販売総額は2008年比で倍増しています。もちろん、販売金額の拡大と共に、トップ20社の市場シェアはさらに高まっています。その一方で、不動産企業の急激な業績拡大は2009年の中国不動産市場が過熱していることの裏返しと見ることもできます。北京市を例として見ると、2009年第4四半期、北京最高の住宅取引金額は7万元/平米を超え、現在発売中の販売単価上位30物件は3万元/平米の販売単価を超えています。3万元/平米の100平米の物件は日本円に直すと約4,000万円ですから、北京の一般市民からすると非常に高水準な価格と言えます。2009年12月7日に中国社会科学院の発表したレポートによると、中国の住宅価格と世帯収入の比率は適切な範囲を超えており、85%の家族は高すぎて住宅を買えない状況であると指摘しています。

これを受けて、中国政府は2009年末から、不動産市場に対する引き締め政策を実施し始めています。このため不動産銘柄は軟調な株価推移となっています。しかし、現在のところ、前述にあるような大手不動産企業の業績には、甚大な影響はないように思われます。というのは、以前にも似たような引き締め策が打ち出されたときも短期的な影響は出たものの、その後再び元に戻っているからです。基本的に中国では不動産を持っていない人がまだまだ多いため実需が強く、この流れは、今後10年程度は続くものと考えられます。このように考えていくと、不動産規制策によって低迷している大手不動産企業は、長期的に見て買いのチャンスなのではないかと思うのです。