先週11日、ドル/円は一時的に108.73円まで下押す場面があったものの、週明け14日からは切り返す展開となり、足下では現在110.64円に位置している21日移動平均線(21日線)を再び試す動きとなってきました。思えば、7月11日に米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が米議会での証言を行って以降、その内容が想定していたよりもハト派的であったとして、ドル売りの流れは始まりました。7月下旬以降は米政権の政策運営に対する不信感が強まって、一段とドル売り圧力は強まります。

さらに先週8日、ワシントンポスト紙が「北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載可能な小型核兵器を開発する能力がある」との米インテリジェンスの分析を伝え、そのことを一因に米大統領が突然、北朝鮮に向かって無用に過激な妄言を吐きました。周知のとおり、北朝鮮は即座に反応し、件のグアムに向けてのミサイル発射というオプションが提示されることとなったわけです。

振り返れば、今年の4月初旬から中旬にかけても米軍によるシリア攻撃を一つの契機として、中東や朝鮮半島などの地政学的リスクに対する警戒が強まる場面というのがありました。4月は、北朝鮮の故金日成主席生誕105年記念日(15日)や朝鮮人民軍創設85周年などのイベントが続いたこともあり、市場ではリスク回避を目的とする円買いの動きも一時的に強まり、ドル/円が一旦108円台前半の水準にまで下押す場面もありました。

しかし、下図でも確認できる通り、4月17日に108.13円の安値を付けて底入れしてからのドル/円はV字型の急回復を遂げ、5月初旬には一時114.37円まで上値を伸ばす場面がありました。ことに、3月半ば以降長らくドル/円の上値を押さえていた21日線を4月下旬に上抜けてからの動きが非常に活発であったことは印象的です。

そして、今回も先週11日に108.73円の安値を付けて底入れしたドル/円は、前述したとおり、足下で再び21日線を試す動きとなっています。やはり、21日線は重要な節目の一つであるだけに、その近辺で一旦は上げ渋り、暫しの間、少々もみ合う可能性もあるとは思います。それでも、いずれ21日線をクリアに上抜ける展開となった場合には、中期的に再び114円台半ばあたりの水準を試すようになる可能性も十分にあると見られます。

ここであらためて下図を見てみると、まずはドル/円が4月初旬あたりから所謂「フラット型」の保ち合いパターンを形成していることがわかります。そして、この保ち合いのなかでは21日線が重要な役割を担っており、同線を上抜けると暫くは強気継続、下抜けると暫くは弱気継続となっていることもわかります。

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結果、当然のことながら21日線とのかい離率は0(ゼロ)から上下に振れることとなりますが、そのかい離率が大よそ±2%強に達すると、それからじきに転換点を迎えやすくなるということもわかります。今回も、先週11日にドル/円が直近安値をつける少し前に、21日線かい離率がマイナス2%超に達し、そこから切り返して現在は21日線とほぼ同一でのもみ合いとなっています。

ちなみに、3月以降は奇数月の10日前後に決まってドル/円は目立った高値をつけるというパターンを繰り返しています。よって、次はさしずめ9月10日前後に一旦、目立った高値をつけに行くということになるのかもしれません。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役