■ 世界の上位行時価総額比べ http://mailsrc.gladv.co.jp/china/Bank-MktCap.png
まず世界の銀行上位行の時価総額を比較すると、20兆円を超える工商銀行を筆頭に、トップ5のうち3行が今や中国の銀行という時代になりました。
米国の銀行は昨年株価が数倍となるリバウンドを見せましたが、規模ではもはやかなわない状況です。三菱UFJ銀行は世界のトップ10に入っていませんが、日本のトップ行として参考に載せています。
背景には貯金好きの中国人だけあって中国全体の預金残高は日本の預貯金をも超え、また一方で昨年一年間だけで130兆円を超える新規融資が政府主導で行われたという、預金も貸出も経済の発展に沿って凄い状況があります。
一方日米はゼロ金利など、中央銀行の緩和政策でお金を市中銀行に届くところまではジャブジャブにしておりますが、そこから先に貸し出しが進まずマネーサプライは縮小しているような状況です。ジャブジャブのお金の中で銀行は中国のように新規融資には向けず、苦しい台所事情の日米政府が大量に乱発する国債の受け手になっている様子です。
話を中国の銀行に戻しますと、これだけの時価総額規模になっている企業であることから、仮に中国のこれらトップ行が駄目になるようなことになると、中国の経済自体が終わってしまうことを意味するでしょう。H株指数なども中国大手行の株価とぴったり連動しており、株式市場への影響も最大です。
中国経済が今後10年以上発展する、という仮定が正しいままである限り、これら銘柄は大変手堅い投資先といえます。大きく上がる成長株の楽しみはありませんが、長期安定投資と配当重視の投資家にとっては的を射た投資対象であるでしょう。
その中国銀行セクターの株価が年末から調整しています。
背景には度重なる人民銀行による預金準備率の引き上げや融資の抑制指導などがあり、銀行活動は引き締めの段階に入るという流れになっており、銀行や不動産株はこれらに敏感に調整してきているのです。
しかし先ほど言ったような長期投資家にとってここは買い場と思います。なぜなら後に見るように長期的な銀行の成長(=中国経済の成長)を考えれば相当な割安水準と思える位置になったからです。
なお、私見ではありますが、若い人ほどこのような長期投資向けの銘柄を、じっくり腰を据えて持つべきでは、と思っています。一般には若い人ほどハイリスクで短期の投資を好むと思われている節もありますが、その反対の方が良いと思います。なぜなら若い人には時間という武器があり、投資において時間ほど強い力はありません。安定して高配当なものに20年という時間をかけて投資すれば、複利効果で大きなリターンが計算され(実際に計算してみれば、その複利効果のなせる技に多くの人が驚くでしょう)、若さゆえそれだけ寝かしておける時間があるからです。