前回更新分の本欄で、ドル/円について「今年1月半ば以降、ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム(逆三尊)を形成していると見ることもできる」と述べました。ここで、あらためて下図において確認してみますと、たしかに足下のドル/円は89日移動平均線(89日線)に下値を支えられながら底堅く推移するなかで、2月15日高値(=114.96円)あたりの水準をネックラインとする一つのリバーサル(反転)フォーメーションを形成していると見ることができるように思われます。

そうであるとすれば、いずれネックラインを上抜けたところで逆三尊のフォーメーションは「完成した」と見做されることになり、その後は上値余地が拡がり易くなると考えることができます。その場合、上値の一つの目安になり得るのは「ヘッド(この場合は2月7日安値=111.59円)」の水準からネックラインまでの値幅と同じぶんだけネックラインより上方にとった値とするのがセオリーです。

つまり、仮に逆三尊が完成した場合、その後の上値一つの目安は「2月7日安値から2月15日高値までの値幅と同じ分だけ2月15日高値より上方にとった値」と考えることができ、結果的に、それは今年1月3日高値や昨年12月15日高値が位置していた水準をあらためて試すということにもなります。昨年12月15日高値からの調整が2月7日安値で終了したとするならば、再び118円台後半からそれ以上の水準を試す展開となる可能性も大いにあると言えるでしょう。

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それにしても、目下は前記のネックラインが位置する水準が重く、そこに分厚い上値の壁が立ちはだかっているかのようです。そこは、ちょうど「115円」というキリのいい数字に近く、心理的節目とも言われる水準であると同時に、現在は一目均衡表の日足「雲」上限が位置しており、余計にその壁が厚く感じられるような状況となっています。また、ドル/円の115円処というのは、このところ「トランプ・シーリング」などと言われることがままあり、同水準を超えてくると「米政権からの円安誘導批判が強まりやすくなる」などと見る向きもあるようです。

周知のとおり、2月に行われた日米首脳会談で、為替協議などの通商問題については麻生財務相とペンス米副大統領による『日米経済対話』の場で議論することが決められ、いよいよ4月のスタート時期が迫ってくることに対する警戒ムードは足下で拭い切れない状況にあります。まして、今週末にはムニューシン米財務長官のデビュー戦となるG20財務相・中央銀行総裁会議がドイツで行われる予定となっており、その場であらためて米政権側の意向が強く示されるのではないかと警戒する向きも少なくないと見られます。

もちろん、今回のG20会議を比較的"無難に"通過することができれば、むしろ一旦はドル/円の上値余地が拡がり易くなる可能性もあると言えるでしょう。もとより、このところ米国経済の足腰は着実に強さを増してきており、昨日から行われている米連邦公開市場委員会(FOMC)でも追加利上げの決定が下されることは"ほぼ確実視"されています。

そのうえで、さらにFOMCメンバーらによる金利見通しが前回(昨年12月時点)の水準よりも引き上げられたり、イエレンFRB議長の会見でタカ派的な発言が飛び出したりすれば、今週から来週にかけて、いよいよドル/円がリバーサルフォーメーションを完成させる可能性も高まってくるものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役