前回の本欄では、ドル/円の上方に控える複数の重要な節目に注目しました。それは、今年の年初から形成されている「中期下降チャネル」の上辺(1月29日高値と5月30日高値を結ぶレジスタンスライン)や89日移動平均線(89日線)、そして89日線とほぼ同じ水準に位置する一目均衡表の日足「雲」上限などでした。

先週21日、ドル/円は一時107.50円まで上値を伸ばすこととなりましたが、結局は前述した複数の節目に押し戻されるような格好で一旦反落。昨日(26日)は、一時104円を割り込む水準まで下押す場面もありましたが、そこは21日移動平均線に下支えされるような格好で一旦下げ止まることとなり、こうした一連の値動きは、ある意味でテクニカル分析のセオリーに非常に忠実なものとなったわけです。

結局、ドル/円は中期下降チャネルから上放れることができず、いまだ上方視界は開けてきていませんが、今後もチャネル上辺や89日線などとの位置関係には注目し続けて行きたいところです。もちろん、今週は28-29日に行われる日銀金融政策決定会合(日銀会合)の結果次第でドル/円のチャートフェイスがどのように変化するかを見定めることが最も重要なポイントであることは言うまでもありません。

その一方で、ユーロ/ドルが「非常に重要な節目の一つである1.1000ドルを明確に下抜けるかどうか瀬戸際の状態にある」という点も見逃せないものと言えます。振り返れば、ユーロ/ドルは6月24日の急落によって昨年12月初旬から形成していた中期上昇チャネルを下放れることとなり、以降は幾度かリターンムーブの展開も見られましたが、その基調は下向きの状態にあるものと思われます。

下図でも確認できるように、昨年10月下旬に同年の3月半ば頃から形成されていた中期上昇チャネルを下放れたときも、後に一旦リターンムーブの展開が見られてから一気に下げ足を速めることとなり、結局は先年12月3日に1.0516まで大幅に下押すこととなりました。チャネルを下放れる少し前に、下向きの200日移動平均線を下抜けたことも、その後の弱気の展開につながるものとなった模様です。

今回は、チャネルを下放れると同時に一旦200日線を下抜け、その後は200日線を挟んだもみ合いが暫く続いたものの、7月半ば以降に明確に下抜ける展開となり、徐々に200日線自体も下向きになってきています。ここで、さらに節目の1.1000ドルを明確に下抜ける展開となれば、そこからユーロ/ドルの下値余地は一段と拡がりやすくなるものと見られます。

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目先は、昨日(26日)から行われている米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果と声明文の内容が大いに気になるところですが、今回は政策据え置きとなる可能性が濃厚で、声明文においては景気の先行きに強気の見方が示される可能性はあるものの、少なくとも9月利上げを強く示唆するものとはならないと見る向きが多いようです。

結果、仮にユーロが一旦買い直されるような展開になったとしても、その上値は自ずと限られるものと見られ、当面は基本的に「戻りは売り」のスタンスで向き合うのが賢明ではないかと個人的には考えているところです。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役