前回の本欄で、当面のドル/円の行方について「5月30日高値から6月24日安値までの下げに対する50%戻し=105.21円、61.8%戻し=106.69円などが試される可能性も十分ある」と述べました。実際、ドル/円は先週14日に106円手前の水準まで上値を伸ばし、その後は横這う動きとなりながらも昨日(19日)は一時106.53円まで上昇する場面がありました。つまり、前述した61.8%戻しの水準にほぼ到達し、今後は重要な節目の一つである6月24日高値=106.80円を上抜けるかどうかが一つの焦点ということになります。

昨日(19日)まで、NYダウ平均が8営業日続伸し、日経平均株価も3連休を挟んで6営業日続伸と、米・日同時株高で市場のリスク選好ムードが強まっていることは言うまでもありません。加えて、このところの米経済指標が軒並みの好結果となっていることで、米国の年内利上げ観測が復活してきていることも見逃せません。

先週15日に発表された6月の米小売売上高は前月比+0.6%と市場予想の同+0.1%を大きく上回り、同日発表された6月の鉱工業生産指数(2012年=100)も104.1と前月の改定値から+0.6%の伸びとなり、市場予想の+0.2%を大きく上回りました。また、昨日発表された6月の住宅着工件数および許可件数もそれぞれ予想を上回る結果となり、ブレグジット・ショック後の米国経済に対する悲観的な見方は大きく後退し始めてきています。

ここで、あらためて年初からのドル/円の日足の推移を確認しておきましょう。下図に見るとおり、ドル/円は年初から形成されている中期下降チャネル内での推移を続けており、その間、基本的に上値は89日移動平均線(89日線)ならびに一目均衡表の日足「雲」上限に押さえられ続けてきました。また、日足の「遅行線」が基本的に日々線よりも下方で推移し続けてきたことも注目されます。

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これらのことを踏まえたうえで、現在のドル/円が位置するところを見てみると、まずは先週12日に21日移動平均線(21日線)を上抜け、後にこの21日線が上向きになってきていることが注目されます。また、日足の「遅行線」が今まさに日々線を上抜けるかどうかの瀬戸際にあるという点も見逃せません。

もちろん、まずは6月24日高値=106.80円を上抜けるかどうかが何より重要ですが、仮に同水準を上抜けた場合は、その上方に居並ぶ数々の重要な節目に市場の関心は移って行くものと思われます。それは、下から順に日足「雲」下限、中期下降チャネル上辺(1月29日高値と5月30日高値を結ぶレジスタンスライン)、89日線、日足「雲」上限などであり、これらを順に上抜けて行くような展開になった場合には、そこからドル/円の上方視界は一気に開けてくるものと考えられます。

ただし、ドル/円は7月8日の安値から19日の高値まで非常に急ピッチでの上昇を見ており、目先はとりあえず上げ一服となる可能性もあるものと思われます。実際、7/8安値=99.98円と7/14安値を結ぶごく短期のサポートラインを7/16日に下抜けてからは、ひとまず上昇の勢いも一服となっています。周知のとおり、来週は米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が控えており、そろそろ様子見ムードが強まってきてもおかしくはありません。また、それらイベントの結果次第では円が一旦買い戻される可能性もないとは言えず、そうした点には一応の警戒を要するものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役