日米の金融イベントや米1月雇用統計の発表を通過し、東京株式市場はインパクトに欠ける展開となっています。景気指標の改善、企業業績の上方修正が伝えられる中でも、トランプ米政権への警戒感が強いため、下げても買いたくない、そんな気持ちになっている投資家ばかりなのでしょう。トヨタ自動車の業績上方修正も円安が主要因であり、中身がパッとしない。そういった中、10日には安倍晋三首相とトランプ米大統領の日米首脳会談がワシントンで予定されています。トランプ米大統領は主要な貿易相手国の「通貨安政策」を批判し、日本に対する貿易赤字へ不満なども示しており、為替を含む通商政策問題が焦点となります。ドル/円相場は米1月雇用統計での非農業部門雇用者数の大幅な増加を受けても、ドル高・円安が続きませんでした。相当、市場参加者は円高方向に身構えているようですね。
「ドル高けん制発言が出る、だからドル安・円高が進む」といった戦略をとる投資家が多いとした場合、実際ドル高けん制がなければどうなるでしょう。あるいは、さほど強いトーンのものでないとすればどうなるでしょうか。ドル高・円安に反転が起きる可能性が高いのです。すでにドル高けん制はトランプ米大統領の口から発せられているわけで、「1ドル=100円以下が望ましい」などの過激過ぎる発言がでれば話は別です。が、これまでに織り込まれている以上にマーケットにネガティブに作用する「ドル高けん制」というのは、いったいどういったことをいうのでしょう。つまり、ドル高けん制というざっくりとした悪材料に追加的なものはなく、トランプ米大統領が首脳会談でドル高けん制を再び発したからといって、これ以上の円高要因にはならない、と考えることができそうです。
ただ、1ドル=112円半ばのフシを下回った現実は受け止めるしかありません。仮に、次のフシとなる110円処までの円高進行となったとしても、「今のように米国株の堅調さが日経平均株価の下値を支え続ければ、それでよし」なのです。その状況で円安方向に反転した際には、「ここ直近の最高水準でもなければ、そんなに下げてもいない」居心地のよい株価は上昇しやすいはずです。主力株では、比較的高い位置にある、ソニー、ホンダ、メガバンクなどが先に出てくるのでしょう。3月からは海外のイベントが多くなりますが、相場の底堅さから聞こえてくるところによると、あまり気にしてないようです。

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東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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