米国市場が波乱の様相を呈してきました。金利上昇による世界的なリスク(債券バブルの巻き戻し)回避相場に警戒しておく必要もありそうです。
さて、ダウ平均の新値10本足が陰転しました。最近はボラティリティの小さい値動きが続いていたため、先週末のような急落があれば、陰転しやすいテクニカル指標なのですが、今週は200日移動平均線を使って、短期的な下値メドを考えてみたいと思います。
図表は、ダウ平均の日足のラインチャートと200日移動平均線(以下、200日線)、200日線から±2%のライン、200日線から±7%のラインで構成されています。
上昇トレンドが続いたときの上値は+7%前後で頭打ち。今回の高値も+7%前後までいっていたので、なかなか上にいけなかったのはそれが要因。今になっていえることなのかもしれませんが、200日線からのかい離率では過熱感があったといえます。
逆に-7%前後まで下げたのは2012年以降では昨年の2015年だけです。人民元ショックをきっかけとした急落後の昨年8月安値時は、-7%を大幅に下回り、-10%まで売り込まれました。次、同じような場面があれば参考になるかい離率のパラメータとなります。
上昇トレンドが続いたときでも調整する局面はあります。200日線まで突っ込むこともあるのですが、200日線から+2%程度の水準がサポートになることが多かった。昨年8月安値からのリバウンド局面でも、200日線を上回りましたが、+2%で頭打ち、逆に-2%で下げ止まるなど、200日線を挟む±2%のラインはサポートやレジスタンスになりやすいといえます。今年の5月にもサポートになりました。
ということは、足元、仮に下落幅が拡大した場合、200日線から+2%水準の17,919ドル(9/12現在)が最初の下値メドと考えられます。昨年11月の戻り高値17,918ドルと重なる節目です。次は200日線の17,568ドル(同)、200日線から-2%水準の17,217ドル(同)などが考えられます。

さらに200日線にこだわりますと、9月12日から200日前は昨年の11月25日ごろで、当時は18,000ドルを少し割れた水準でした。なので、今とほぼ同じ水準です。なので、週明けのように大幅に反発しても、200日前とそれほど価格差が広がらないので、200日線は強い上昇にはなりません。そのため、株価とのかい離率が再び広がるだけで下落懸念が残ることになります。実際、13日の大幅反落もテクニカル面ではそれが理屈です。
ところが、1カ月程度、株価が今の水準で踏みとどまっていれば、200日前と2,000ドル近く価格差が広がってくる(200日前が2月安値に向かっていく)ため、200日線の上がり方が早くなってくる。そうなると、かつてのように+2%をサポートに上値を伸ばしていける。そんな可能性もまだある現状なのです。
これは、昨年8月から今年前半のチャート上の「谷底」が大崩れせずに、立ち直ったために起きうるチャンス、現象だということです。

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東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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