5月19日の当コラム「コポックが予想する長期の買い場」のフォローアップをしたいと思います。図表1の青線は長期投資のタイミングをみる指標で、「コポック指標」といいます。「コポック指標」は日経平均やTOPIXなどの平均株価の月中平均を使い、ある時点と比較した騰落率の加重平均線です。ここでは各月の12カ月前と比較した騰落率を求め、その直近10カ月間の加重平均(現在に近づくほど1倍ずつ比重を加算していく、計算対象期間で最も新しい価格には10倍する)で描いています。主には底値圏での買いタイミングをみるもので、指標がマイナス圏にあり、上向きに転じることが買いサインの条件。今回の下落局面は、今年4月にマイナス圏に入り、足元は下落が続いています。12カ月前の昨年8月が19,000円台だったので、何となく下落しているのはおわかり頂けると思います。
では、どのタイミングになればマイナス圏で上向きに転じるのか?将来の株価推移を「たられば」で想定してみると、8月の月中平均(16,570円、8/30現在)と同じく、9月以降も月中平均が16,500円で続くと見立てると、12月に上向くことになります(赤線は予想)。月中平均が16,000円の場合は1月。逆に今よりも少し水準を切り上げ、17,000円になると9月に上向くことになります。
さて、9月の日経平均は2000年から5連敗するなど鬼門の月です。直近20年(1996~2015年)における9月の騰落状況は8勝12敗と負け越し。下げたケースを振りかえると、2015年は人民元の切り下げで下げが加速、2011年の欧州債務不安・米国景気の二番底懸念、2009年が円高進行で7カ月ぶりに下落、2008年はリーマン・ショックによる金融危機、2004年はハイテク株安などで9日続落、2003年は円高進行で失速、2002年は不良債権問題などを背景に19年ぶりの9,000円割れ、2001年は米同時多発テロで急落しました。
一方、2013年にFRBが予想に反して量的緩和の縮小を先送りしたことで金融相場への期待感が広がった、2005年は衆院選の与党圧勝を契機に上昇したこともありますが、上昇したケースは印象が薄いです。
図表2に示したように、1997年、1998年、2001年、2011年は8月に大きく下げると9月相場に尾を引くかたちとなりました。昨年もそうでした。ただ、今年の8月は過去30年間で最も小さな変動幅(1%未満、8/30現在)となる可能性が高いのです。
日経平均は週足でみると、7月中旬に形成した大陽線の上方で「上値遊び」が続く格好となっており、二段下げ目に突入する前兆と捉えることもできる。株価が大崩れしなければ、9月後半には13週移動平均線が26週移動平均線を上回る可能性が高い。上昇に弾みがつき4月高値(17,613円)を上回ることができれば、昨年6月高値(20,952円)からの調整完了に一歩近づくことになります。
夏枯れ時期(7月、8月)の二点同時(月足ローソク足の終値が同じ)はまんざらでもない。相場の分岐点となりえる三点同時を待たずして、反転攻勢となってほしいものです。
東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ
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