市場分析のテクニカル指標に「騰落株線」というものがあります。ある特定の日を起点に値上がり銘柄数をプラス、値下がり銘柄数をマイナスし、それを累計した値を日々つないだ線です。市場人気がどれぐらい広がっているか、離散しているのかをみる指標です。
図表1のTOPIX(東証株価指数)のように、趨勢的には株価上昇で騰落株線も上昇、株価下落とともに騰落株線も低迷する、これが普通です。ただ、短期的な動きのなかで、前の安値を同時に下回る(A)ときは弱いという意味でわかりやすいのですが、株価が前の安値を下回るかどうかのときに、騰落株線だけが先に前の安値を下回る(B)ときがあります。これは、株価もあとあと弱くなるという先行サインになることが多いです。逆に、株価が前の高値を上回れてないときに、騰落株線だけが先に前の高値を上回ると、株価もあとあと強くなるサインになることが多いです。

そこで、今のマザーズ市場(図表2)をみるとどうか?株価は昨年高値を上回り趨勢的には上昇していますが、騰落線は右肩下がり。昨年11月ぐらいからは特定の銘柄の値上がりによって、マザーズ全体が押し上げられたということです。この大きなギャップの修正がなければいいのですが・・・。
ただ、足元の短期的な株価の調整局面では、4月安値をまだ下回ってない一方で、騰落株線は下回ってきている(C)。足元の株価は下げ止まっているものの、4月後半高値からの調整はダメ押しがあるかもしれない、という意味で注意が必要なのかもしれません。
マザーズ市場の過去の1日当たりの売買代金を月次ベースで区切ってみると、年央では5月、6月にピークをつける傾向が強く、概ね2カ月で売買代金が2倍以上になるとピークを迎えている。2013年のピークは5月の1,726億円、2014年は6月の1,930億円、2015年は大きな特徴はありませんが、今年は4月の2,171億円が現時点では最高です。2月の964億円から2.2倍程度になりました。今年は売買代金の増加額が大きかったですから、すでに売買代金とともに株価もピークアウトしているかもしれません。だとすると、直近の年と同じように、8月~9月ぐらいまでは市場の低迷が続く想定もしておかないといけません。
東証1部の売買代金も7-9月に減少する傾向はあるのですが、短期間な資金シフトで上昇しやすいのは、昨年の高値から指標の悪化とともにまともに下げてきたTOPIX、つまり新興市場以外ということなのでしょうか。

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東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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