全く予期してなかったことがマーケット心理を悪化させています。前回、お話いたしました「黒線を割らず、青線ブレークできるか!」のその後ですが、ウクライナ情勢の緊迫化などを背景に、日経平均は3/17時点で黒線まで下げてきました。3/18は黒線から反発する格好となりましたが、2/5安値(13,995円)を割り込まず、このまま青線を越えられるか? それとも、黒線をあっさりと下回り、13,000円前後まで下げるのか?
日本株にとっては、米国の金融政策や株式市場の動きは当然重要なのですが、そろそろ国内発の目新しい材料が欲しいところです。世界が再び冷戦に入るかどうかという最中で、欧米の海外投資家はあえて日本株を買おうとはしないだろうし、自国の株式を優先して売却することはないでしょう。米国市場の堅調なのとは対照的に、東京市場だけが弱含んでいる要因です。相場が崩れやすいタイミングに入ってきているだけに、海外投資家がその気になれば、日経平均はすぐに1万円まで下がってしまう、少し言い過ぎでしょうけど、それだけ海外投資家の売買シェアが大きいということです。

5月上旬に、日経平均、ダウ平均、ドル/円はターニングポイントを迎えるとみています。3/18付け日経新聞朝刊の投資・財務面に「一目均衡」というコラムで紹介されていた"日本株「年間ゼロ%高」の衝撃"にも、日本株について同じことが書いてありました。
それによると、日経平均は1年前と比べた「年間上昇率」が急速に低下し、昨年12月30日時点では57%あったものが、株価が今の水準を続ければ5月初旬にはゼロ、つまり1年間で横ばいになる、といった出だしでした。結論部分では、消費増税の影響が表面化する5月初旬の時期に、「年間上昇率」がゼロになってしまえば、市場心理がなお萎縮する要因になる。政府や企業に残された時間は約2カ月しかない・・・といった内容でした。

そうなんです。これをもっとテクニカル的に説明しますと、52週移動平均線(以下、52週線)の傾きで説明ができます。52週はおよそ1年間なので。52週線は過去52週の平均値ですが、その足元のトレンドを決めるのは52週前の株価水準です。株価が右肩上がりの上昇を続ける限り52週線の上昇は続きますが、過去に大きく上げ下げをした局面が52週前のタイミングにくると、足元のトレンドに変化が生じやすくなります。
例えば、来月4月後半から5月前半にかけての52週前といえば、2013年4月の日銀による異次元緩和をきっかけに5月高値(15,942円)まで急加速した局面に入ってきます。もし、日経平均が現在の水準を続けた場合、5月前半にかけては52週線が下落するリスクが高まり、株価の底堅さが薄れる局面に入ってきます。つまり、できるだけ早く52週移動平均線の上昇を維持できるぐらいの強い株価の戻りがみられないと、危険です。なので、後押しする新しい材料が必要なのです。