国内企業の決算が本格化しています。市場の反応はまちまちですが、決算内容自体にあまりサプライズはないような感じです。ただ、新興国懸念で市場が大きく混乱しているせいで、市場の評価の良し悪しは、はっきりとわかりません。ただ、そうはいっても決算の中身の吟味は必要です。コンセンサスよりも強いものはいずれ買われる、弱いものは売りが続くというのが、目先的な基本スタンスだと思います。そして、もうひとつ重要なのは、株価の位置です。
というのは、1/29の話になりますけれど、日本経済新聞の朝刊に掲載された主力企業の決算報道に対する株価の反応を見てみました。偶然にも新興国懸念が一時和らいだ局面で、米国株高を背景に全体的に大幅高となりました。注目したのは、KDDI(9433)、信越化学(4063)、日立建機(6305)、オービック(4684)の4社です。いずれも、新聞に好決算報道が掲載され、少なくともその日は材料があった銘柄群です。

例えば、4銘柄の前日からの上昇率をみると、KDDI 4.5%、信越化学 4.0%、日立建機0.7%、オービック 10.8%でした。オービックの圧勝です。それぞれの市場コンセンサスからの比較感という要因はあるのですが、それ以上に違いを見出せば、株価の位置が違うということです。
オービックの昨年来高値は2014年1月9日でした。つまり、右肩上がりで上昇が続いている、まさにトレンドフォローの銘柄です。買い方の回転が効いているというか、材料に最も反応が強くなりやすい。決算内容に加え、株価の需給面が大幅高の後押しとなったわけです。一方、信越化学や日立建機などは、昨年5月高値からの下落率が大きい。都合のよい表現をすると、「下げ切った」あとなので、ここからは買うしかない。と、ポジティブに反応する場合はありますが、戻り売りに押されるケースも多い。日立建機に関しては、取引時間中に5%程度上昇する場面がありましたが、往って来いとなってしまいました。ただ、KDDIは頑張った方だと思います。昨年11月と12月高値からピークアウトした直後でした。つまり、戻ったら売りたいと思っている短期張りの買い方が大勢いたはず、戻り売りが一番出るところなのですが、ほぼ高値引けでした。下げていたソフトバンクとの比較感からの買いなども入ったのでしょう。
結論は、好決算でも中途半端な株価位置にある銘柄は反応が薄い反面、強い反応を期待するにはトレンドフォローにある銘柄が狙い目だということなのかもしれません。来週にかけて決算がどんどん出てきます。市場コンセンサスよりも良いのに、あるいは市場コンセンサス通りなのに反応が薄い、あるいは、なぜここまで売られるの?といった局面があるかもしれません。決算発表でお目当ての銘柄を見つけても、株価の位置が中途半場なら敬遠された方がいいです。

東野幸利

株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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