今後の株式相場のポイントは、米国株とドル/円相場の動向だと感じています。今週の米ダウ平均は史上最高値まであと545ドル程度の水準まで戻してきました。このまま10月に向けて高値更新できるのか、それともその前に大きくひと押し入れるのか(13,
000ドル割れ程度まで)。国内大型株の年末までの行方を左右するでしょう。
為替市場では昨日、日銀による追加緩和の発表後にドル円は一時79円台前半まで円安が進みましたが、その流れは止まったのか? 今日の東京株式市場はそのあたりも警戒要因となりましたが、まあ、その程度の小さな動きはどうでもいいとして・・・

個人的には、直近ユーロが買われた範囲内でのユーロ売り、ドル買いが強まる可能性があるとみています。ドル円ベースでも円安が進めば、輸出株全体にとって、いや日本株全体にとって追い風になってくる可能性があるということです。

短期的には、今日の相場のように円安一服→円高懸念拭えず、といったことを背景に内需株シフトするような動きは瞬間的に見られるでしょう。ただ、今年上昇が続いた内需株は株価的にはピークアウトの可能性がでてきています。これまでは、円高→内需株シフトで成功してきましたが、ここからはそうはいきません。円高局面だからといって、内需株の押し目を買っても儲からない。全体相場が戻る局面ではなかなか上昇せず、次第に疑念を抱くようになり、見切り売りにつながる、ような気がします。そして、結局資金を戻すところはリバウンド妙味の外需株。そういった投資家の動きが読めたならば、年末に向けては出遅れ外需株に注目です。「内には往ってこい」の可能性があるので、どうしても内需株の押し目買いならば、もう一段下に引き付けるようなイメージで、今は静観するのが得策です。

足元、景気敏感(外需)株の鉄鋼や化学、海運などの株価反発局面では、ローソク足の白抜き(陽線)が多いか、黒抜き(陰線)が多いかはとても重要。もちろん、白抜きが多い方が反発力が強く、本格上昇につながりやすい。新日鉄(5401)や住友化学(4005)などは典型的かも。まだ、自立反発にとどまる可能性は高いですが、少しリスクを感じているときの方が、あとから振り返って底打ちだったケースって多いんですよね。

以前、お話しましたが、市場参加者のほとんどが同じ時期に確信できる底値は、いずれ早いうちに底割れにつながります。例えば、買い戻しと新規買いの違いの一つでもありますが、買い戻しは既に持っているポジションを解消する。つまり、リスクから逃げる行動なので比較的判断しやすく気持ちも楽、買い戻すポイントが一致しやすい。なので、買い戻しが一巡すると再び下値模索となるケースは頻繁にあるでしょう(あとの買いが続かない)。
一方、新規買いはこれからリスクを取りに行くため、それぞれ投資家のリスク許容が異なるために、買いの判断や時期がずれる。ですので、「底打ちかな~」と判断はできるけれど、リスク怖さに実際の行動(買い)につながらない投資家がたくさんいるときの方が、本当の底打ちとなりやすいものです(出遅れ買いによる上昇で、益々底打ちが明確になるため)。今がそんな時期のような気がします。

日経平均とTOPIXを比べると、7/25安値以降の動きが違います。日経平均は200日線を上回り、7/4の高値を更新した一方、TOPIXは200日線もまだ上回っていない。この2つの指数が同じ動きになってくると、つまり、TOPIXが200日線を上回り、7/4高値を上回ってくれば、全体的に大型株に対する好転ムードが一段と上回ってくるはず。

このところ、村田製作所(6981)や京セラ(6971)など電子部品株に元気がでてきました。「iPhone 5」効果などの連想が働く局面ですが、電子機器市場においては、引き続きスマホやタブレット端末の需要動向に頼らざるを得ない状況です。スマホ関連で注目は、電源回路に使う小型コイルが好調の東光(6801)です。2012年3月には村田製作所と資本・業務提携を結び、小型コイルの製品開発を活発化させているそう。材料的には大したことはないですが、株価の動きが気になります。2008年10月安値から緩やかな上昇基調。
今年に入ってからは3月後半から騰勢を強める場面がありましたが、二段下げには至らず、三角もち合いの局面です。200円台前半の戻り売りは強そうですが、中期350円~400円目標で。中長期的にも短期的にも底入れ上昇局面にある銘柄として期待できそうです。
業績面では、前期はタイの洪水や世界景気の低迷で営業赤字となりました。今期は黒字転換予想のコンセンサスを上回ることができるかがポイントです。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ