前回の当コラム「しもひとけたさん」で採り上げたOKI(銘柄コード6703)ですが、復活企業どころか、今日は寄り付きから売りが殺到し、一時はストップ安まで売り込まれました。同社は8日の引け後、スペイン子会社で不適切な会計処理があったと発表しました。オキ・システムズ・イベリカ(OSIB)において、約80億円の売り上げが過大に計上された可能性があるということです。これにより、同社は2012年4-6月期の四半期報告書を法定の提出期限の2012年8月14日までに提出できない見込み。それを受けて、東京証券取引所は2012年8月8日付で、同社株を投資家に対する注意喚起のため監理銘柄(確認中)に指定しました。9月14日までに四半期報告書を提出できない場合、上場廃止となります。一方、OKIは9月14日を目処に提出し、決算の開示を行う予定とコメントしています。

株価は2009年6月高値を起点とした下値支持線の節目まで一気に下げたことで、やや戻して引けました。目先的には短期売買が中心になることが予想されることや、会社のアクションを見極めないと適切な判断はできないですが、短期的なチャートは崩れてしまいましたので、調整は以前の見方より長引くと思われます。スタンスは戻り売りに変更した方がよいと思います。目先は95円処が戻り売りのポイントとみています。追って、フォローしていきたいと思います。

さて、日経平均の月別の高低率(高値と安値の乖離)をみると、8月は他の月に比べて少しだけ値動きが大きくなりやすい(図表1)。夏季休暇入りで取引がより閑散となり、値動きが上下に一方通行になりやすいのかもしれません。8月9日現在、高低率は5.7%程度にとどまっています。90年以降の衆議院総選挙を振り返ると、投票日に向けて上昇しやすいアノマリーがあるのは心強い。都合のよい解釈ですが、薄商いがゆえに一段高を見込むこともできましょう。

日本株で「歴史的な安値」を付ける銘柄が増えています。日経平均の2003年4月安値以降、日経平均採用の値がさ株上位25銘柄と低位株上位25銘柄の推移を比べると、値がさ株の方は日経平均の2004年安値水準相応の値を保っているのが確認できる(図表2赤丸)一方、低位株は特に昨年以降から売り込まれており、「ちょっと売られ過ぎか?」と感じる方もいるのではないでしょうか(図表2赤丸)。例えば、富士紡HD(3104)や黒崎播磨(5352)のように、決算発表をきっかけに、過剰なほど株価がポジティブに反応する低位株が目立ってきました。裏を返せば、これまでの低迷で売りが極端に減少していることを示唆する動きではないだろうかと・・・。

全体、9月以降はやや商いは増加する傾向があるにせよ、動きの鈍い海外投資家だけを頼りにするわけにはいきません。円安に振れない限りは、輸出関連の本格上昇にはつながりそうにない。株式市場では、主要な安値から立ち上がる初動の局面では低位株の全般底上げが生じやすい。主力大型株の本格上昇までの幕間つなぎとして、「低位株」探しが当面のテーマになるとみています。

(※)本コラムは、2012年8月16日は休載となります。次回は8月23日掲載の予定です。

東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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