ついにドル/円が今年3月高値=122.02円を上抜け、一気に123円台へと上値を伸ばしてきました。正直、筆者は個人的に「昨年12月初旬からのこう着状態が、あと1か月ぐらいは続くのではないか」と見ていましたが、それは昨年1月初旬から7か月余り続いた「もみ合い期間」を参考にしていたためで、本来は13年5月下旬から同年10月下旬あたりまで約5か月間続いた「保ち合い期間」を参考にすべきだったのかもしれません。

考えてみれば、昨年1月初旬から現在に至るまでのドル/円の値動きは、12年3月半ばから昨年1月初旬までの値動きのパターンによく似ています。下図に見るように、12年3月半ばからのもみ合いは約7か月間に渡って続き、その後13年5月下旬にかけて20円余り上昇し、5か月ほどの保ち合い期間(A)を経て、再び一段の上値(昨年1月2日高値=105.44円)を取りに行く動きとなりました。

そして、昨年1月初旬以降も7か月余りに渡ってもみ合いが続き、後にもみ合いから上放れて20円ほど上昇し、昨年12月初旬からこの5月下旬までは6か月ほどの間、保ちあい状態(B)となっていました。13年5月下旬からの保ち合い(A)と昨年12月初旬からの保ち合い(B)に共通するのは、いずれも保ち合い期間に突入して1か月足らずのうちに同期間内の安値をつけていることです。つまり、いずれも「三角保ち合い(トライアングル)」のような形状になったということです。

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いずれにしても、昨日(26日)の大幅な上昇で、ドル/円が昨年12月初旬からの保ち合いから上放れた可能性は高いものと見られます。そうであるとするならば、やはり次に意識されやすいのは07年6月高値の124.14円ということになるでしょう。

振り返れば、筆者は本欄の12年3月14日更新分において「今後のドル/円は少なくとも2015年、2016年あたりまで基本的に上昇基調を続けるとの見方もある」と述べ、さらに13年4月17日更新分において「その目標水準は、やはり07年6月高値の124円台+αということになるのではないでしょうか」と述べています。

「124円+α」ではあまりにも漠然としていますが、再び上図を見てみますと13年5月下旬からの保ち合いが終了した後のドル/円は、14年1月2日高値に向けて8円ほど値上がりしていることがわかります。仮に今回も同じような値動きを示すとするならば、場合により128-130円あたりの水準が当面の目標となってくる可能性もあるでしょう。

もちろん、これは「あくまで過去のパターンを基にして想定される水準の一つ」ということになるわけですが、相場の行方を想定するうえでは「過去のパターンが大いに参考になるケースも多い」ということは事実です。

実のところ、ドル/円の過去のパターンには大よそ8年ごとに目立った高値をつける「8年高値サイクル」というパターンもあります。思えば、07年6月に124.14円の高値をつけてから、この6月でちょうど8年が経過します。もちろん、普通に考えれば「ちょうど」などということはあまりないわけですが、今後どこかでドル/円が目立った高値を一旦つけ、その後、一時的にも調整含みの展開となる可能性がないではないということも、とりあえず頭の片隅には置いておきたいものと考えます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役