今日の某新聞朝刊に「個別株離れ進み、先物の売買高が増加傾向にある」とのことが掲載されておりました。まったく、そう感じます。個別株の売買活況のバロメータとなる信用残も大きく積み上がった状況ではありません。
 最近、特に財務基盤の弱い不動産企業の倒産が相次いでいます。そういった中では、なかなか個別株は買えないでしょう。5日間ぐらいストップ高したあと、ゴメンなさい、した企業もありましたね。

 "日経225先物"やそれを小口化した"ミニ日経225先物"などは、企業の倒産や上場廃止、さらには業績リスクがないですもんね。その日の株式市場の方向感だけ抑えていれば、上がるか下がるかだけですから、単純といえば単純です。個別銘柄だと、相場全体が上がっても自分が持っている銘柄だけ、上がらないケースもあるでしょう。見事に自分の最近買った銘柄や、あるいは持っている銘柄だけが上がらないときってありませんか。全体相場が強いときに下がっているから安いと思って買うと、逆に弱い銘柄を買うことにもなりますので、後々にそんな経験することもありそうです。
 先物は売りから取引可能です。個別銘柄でも信用取引を使えば一部売りから入れる銘柄もあるでしょう。でも、現実に存在するものを売るとなると、バイアスを極端に傾けることはできません。1年ほど前ぐらいから、イブニング・セッションといいまして、夕方でも取引できるようになりました。10月中旬あたりから、20時まで(現在は19時まで)延長されるそうです。

 ミニ日経225先物を最低単位取引すると、大体、120万円程度の売買代金になりま
すが、必要資金が全額必要なわけではなく、証拠金取引ですから実質数万円程度で取引ができてしまいますね。呼値は5円です。日経225先物のラージ取引と比べると取引単位が1/10であるかわりに呼値もラージ取引の10円の半分となります。
 さて、日経225先物とミニ日経225先物の値動きは同じですが、日経225先物は一日平均でどれくらいの値動きがあるかご存知ですか。
 2006年以降で大体、220円ぐらいです。220円動くので全値幅を売り買いして取れた場合、ありえないですけど、10枚売買したとして、22万円の儲けです。それは無理ですが、その220円の値動きのうち20円だけ取れたとしましょう。10枚売買して2万円の儲けになります。

 例えば1枚買うのに現在6万円程度必要ですので、元金30万円として取引単位を5枚にしましょう。20円動けば1万円(=5枚×20円×100)の儲けです。この式のなかにある100は決まっているものと理解してください。それを1か月20日として、20万円の儲けになります。2ヵ月で40万円。その時点で元金の30万円をプールします。そして利益の40万円で今度は6枚に取引単位を増やします。そうすると2ヶ月間で利益が48万円になります。また2ヶ月前に再度スタートさせた40万円をプールします。そして儲けの48万円だけ取引を開始する。そうすると8枚に取引単位を増やすことが出来ます。2ヵ月後の儲けは64万円になります。また64万円儲ける原資になった48万円をプールします。そうしていくうちに1年経過しますが、なんと最初の30万円がいくらになっていると思いますか?今日の通勤電車の中でその記事をみて、何となく計算したのですが、15倍ぐらいになると思います。
 もちろん、そんなに上手くいくわけがありません。最初の2ヶ月で元金がすべてなくなってしまうケースは十分に考えられますし、資金を何度もつぎ込んで何度も失敗してしまうと、逆に15倍損をするケースもあると思います。リスク許容度は投資家それぞれ異なりますが、投資元本を当初から大きくしないことがポイントです。
 2ヶ月ごとに元金を確保する方法ですが、2ヵ月後に利益が思うように積みあがらない場合でも、当初の元本だけは確保しながら利益分だけを次の投資原資にすればよいのではないでしょうか。当然、そのケースではリターンは減少しますし、目標達成速度も遅くなります。
 要するに、利益が積みあがっていく分も含めて、次の投資元本に加えていくと、ポジションが格段に大きくなり、最終的にその資金すべてがなくなる状態になるまで取引を続けてしまう傾向になる人が多いわけです。2000年のIT相場のときが典型でした。成功すればリターンは大きいですが、失敗するとリスクが大きくなる分、自己コントロール不能になってしまいますので、くれぐれも注意してください。

 そんな調子の良い計算ばかりしているうちに日本橋についてしまい、おかげ様で、ほかの記事はほとんど読むことが出来ませんでした。証券界は18年になりますが、新聞を読んでいない状態で寄り付きを迎える独特の恐怖感は、重いものではないですけど、ありますよね。

 とかなんとか書いていますけど、一日20円取るのってかなり大変なんです。テクニカル分析を使いこなせても、デイトレになると教科書通りに売買してもついていけません。
 日足もそうですけど、テクニカル分析はこの先、テクニカルな動きがどうなるかを予測できないと20円ですら至難の業なのです。あとは度胸ですかね。買ったあとに、パソコンの電源を落として、お茶でも飲み、休憩したあとにパソコンを見るぐらいがちょうどいいと思います。見てると怖くて直ぐに売ってしまうでしょう。
 超デイトレだと、買って10円でも下がったら怖くてどうしょうもない。逆に下で売ってしまって30円、40円やられるパターンになるんです。5分もかからないうちに・・・。
 ディーラーのときによく経験しました。つたない経験ですが、テクニカル指標の動きは予測しなければいけません。この指標がこうなったら買い、クロスしたから買いではなく、どうなったらクロスするのか、それは需給面でどういった意味があるのかなど、テクニカル指標の意味をしっかり理解する方が、先読みの訓練にもなりますし、いずれみんなが買う前に参入することが出来るようになります。売りも同じです。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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