先日、ある講演会でお話した内容の一部に少し余談を入れてみました。講演会のテーマは、「建て玉法の研究」というものでした。昔はよく"建て玉"ではなく"建ち玉"などとは、私もよく言いましたが、要するに売りにせよ買いにせよポジションのことですね。最近、シカゴ投機筋の"売りポジション"とか、信用取引の"買い建て"、"売り建て"なんかがそうですね。

 ポジションを作るためには、買わないといけない、ないしは売らないといけない。これを「仕掛け」といいますが、買ったものは管理しながら積み増していく、そして売るといった流れになるわけです。逆に最初に売りから入ったならば、そのポジションを管理しながら売り乗せ、そして最後に買い戻す。要するにマーケットに参入するということですね。マーケットに参入するということは、買うか、売るか、様子を見るか、いずれかしかない。非常に単純なことでありますが、単純であるからこそ難しく考えると儲かるはずがないです。複雑なテクニカル指標をいくつ並べても投資パフォーマンスは良くはならないでしょう。自分の最も得意とする指標1つを使って、かたにはまったもの(銘柄)だけに焦点を絞っていくことも重要です。

 さて、建て玉を作るには、まず上昇トレンドの銘柄を見つけ、それを仕掛け(買う)なければいけません。トレンドの長さにもよりますが、トレンドに乗れば利益を得る確率が高まります。あるいは、仕掛けが悪くても大きなロスを被ることはないでしょう。
 例えばトレンドに逆らいながらでも、たまたま安いところで買ったとしましょう。瞬間的な喜びはあったとしても、意外と直ぐに評価損に変わってしまうというケースをご経験された方も多いと思います。小さな波に乗れても、その上のより大きな波の逆をしていたら儲かりにくいということです。

 仕掛けるときのトレンドを確認するにはいろんな方法があります。テクニカル指標では、移動平均線やトレンドラインを引く方法などです。移動平均線の傾きが下向きから上向きに変化すると同時に上昇トレンドを疑い、仕掛けるという方法があるでしょうし、上値抵抗線を上に抜いたときに買いを仕掛ける方法もあります。かなり簡単な方法ですが、それが一番です。複雑に考えても時間の無駄になるだけですね。
 まだたくさんありますが、私が特に強調して仕掛けのタイミングとして活用して欲しい方法は、酒田五法(今ではローソク足の組み合わせで見るのが一般的)のドテン買いシグナルをそのまま覚えてしまうことです。以前、マネックス証券のオンラインセミナーでやったテーマなのですが、非常に有効だと思います。

 講演会のあとには、いつも小さなテーブルを囲んで少数人で対話するコーナーもあるのですが、意外と酒田五法をご存知ない方が多いように思いました。是非、覚えて慣れて活用してください。移動平均やトレンドラインを使う方法に比べて、主観的部分が強いのが弱点といえば弱点ですが、仕掛けられるタイミングがかなり早くなることもあります。一度、それで成功すると意外とやみつきになったりもします。徐々に相場を見るときに意識するようになり、いずれマーケットがどちらに行きたがっているのかが、おおよそ理解できるようになってきます。
 少し誇張した言い方ですが酒田五法を知っていると相場が面白くなりますね。ただ、あまり見すぎてチャートバカになってしまうと、私みたいに"娘のピアノの鍵盤"や"オセロ"などの白黒がローソク足の陽線(白)、陰線(黒)に見えてきますから・・・(笑)。

(株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ 東野幸利)

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