前回(1月7日)更新分で想定したとおり、足下のドル/円にはチャート上、複数の弱気シグナルが同時に点灯する状況となってきました。よって、当面は押し目買いの良きタイミングをうかがいたいところではありますが、一段の下値リスクに対する警戒も怠ることができず、資金と時間を分散しながら慎重に取り組んで行きたいところです。

まず、下図において確認できるようにドル/円は前回更新分でも注目した一目均衡表(日足)の基準線を今週12日に明確に(2日連続して終値で)下抜けることとなりました。同時に、この時点で昨年10月15日安値とその後の安値を結ぶ中期サポートライン(中期上昇チャネルの下限)をも明確に下抜けています。

さらに、ここで日足の遅行線が日々線を下抜ける格好となったことも見逃すことはできません。前回更新分でも述べたように、日足の遅行線は現在の価格を当日を含む26日前(過去)の位置に記入するもので、同線が日々線を下抜けるということは26日前の水準を下回るということになります。その結果、市場では「やや失望」の反応が強まりやすくなるものと考えられます。

そして昨日(13日)のドル/円は、ついに終値で日足の「雲」のなかに潜り込む格好となりました。終値が日足の「雲」のなかに位置するというのは、昨年7月下旬以来のことです。昨年10月初旬から中旬までの調整局面においては、むしろ日足の「雲」上限が下値をサポートする役割を果たしていました。まして、今回潜り込んだ日足の「雲」は非常に分厚く、それだけ相場のしこりが強いことを示しています。

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なお、前回更新分では21日移動平均線(21日線)と同線をベースにしたボリンジャーバンドにも注目しました。まずは、この21日線をドル/円が明確に下抜けるかどうかが一つのポイントでしたが、下抜けた後は次にボリンジャーバンドにおけるマイナス1σ(シグマ)の水準を終値で下抜けるかどうかがポイントとなります。「このマイナス1σの水準を終値でも下抜けると、そのままマイナス2σの水準まで下落しやすい」と前回更新分でも述べましたが、実際に昨日の終値はマイナス1σの水準を下抜けており、目下はマイナス2σの水準(現在は117.04円)に迫る動きとなっています。

ここで再確認しておきたいのは、ボリンジャーバンドにおけるマイナス2σの水準というのは、ときに「その水準で下げ止まって反発する」という逆張りのシグナルになることもあれば、逆に「そこから一旦は下げが更に加速する」という順張りのシグナルになることもあるという点です。つまり、目先はマイナス2σが位置する117円ちょうどあたりの水準を下抜けるかどうかの正念場であり、仮にこれを下抜けた場合には、やはり昨年12月16日安値=115.57円がどうしても意識されやすくなるものと思われます。

ちなみに、本日(14日)は朝方から日経平均株価の値動きも弱含みとなっており、執筆時点においてはドル/円と同様、日経平均株価も日足の「雲」のなかに潜り込む展開となっています。周知の通り、最近は日々の値動きが激しいため、このまま「雲」のなかにしばらく留まるとは言い切れませんが、当面は参考までに日経平均株価と「雲」の位置関係についても注視しておきたいものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役