下の図は、本欄の10月8日更新分において掲載した図とほぼ同様のもので、あれから2週間が経過してどのような変化が生じたかを確認していただくためにご用意しました。振り返れば当時のドル/円は、まだ10月1日高値と10月3日高値によって形成されたダブルトップのネックラインと見做される108円前後の水準にありました。また、一目均衡表(日足)の「遅行線」は日々線よりも上方に位置していました。

その時点で筆者は、当面の下値メドを106円から105.40円あたりと想定しました。その根拠については、本欄の10月8日更新分と前回(10月15日)更新分の記述をご覧いただければ幸いです。そして実際に、ドル/円は先週15日のNY時間に一時105.18円まで下押すこととなり、当面の下値メドと想定された水準に到達することとなりました。

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言うまでもなく、105円台前半の水準というのは、今年1月2日に105.44円の高値をつけて一旦大きく反落したところでもあります。つまり、そこには複数の節目が集中していたわけであり、それまでの急激な下落の反動もあって、とりあえずは反発し、目下は一定のリバウンドが生じている状況にあります。

ここで問題となってくるのは、果たして10月1日高値からの調整が先週15日安値の105.18円で終了したのかどうかということです。もとより、ここでは「一定のリバウンド」という文言を用いているわけですから、筆者の胸中には「必ずしも終了したとは言い切れない」との思いがあります。金融市場全体を見渡しますと、まずNYダウ平均が先週15日の安値15855ドルを底に反発し、目下は一定のリバウンドが生じています。また、日経平均株価も先週17日安値=14529円を底に反発し、目下は再び15000円台を回復する動きとなっています。しかしながら、こうしたNYダウ平均や日経平均株価のリバウンドにも「自ずと限りがあるのではないか」と思われてなりません。

ドル/円に目線を戻しますと、まずは重要な日足の「遅行線」が日々線を下抜ける展開となってきていることがわかります。また、目下のリバウンドは日足の「基準線」に上値を押さえられるような格好となっていることもわかります。現在、この基準線が位置しているのは107.63円処であり、今回のリバウンドが生じてからの高値は今週20日につけた107.39円です。

この大よそ107.40-60円という水準は、9月のFOMC後にドル/円が一段高となる前に少々もみ合った水準であり、言い換えればFOMC後の急上昇のスタート地点になったところでもあります。思えば、9月のFOMCは参加者の金利予想が上方修正され、それが後のドル/円急上昇の大きなきっかけとなりました。しかし、今では世界経済全体の減速懸念が強まっており、FRBが利上げに踏み切ると想定される時期も一頃よりは後ずれしているものと考えられます。

今後、ドル/円は日足「雲」のなかに潜り込む可能性が高いものと見られ、そうなると相場はしばらくもみあいを続ける可能性が高まります。そのうちに、日足「雲」の下限が意識されやすくなる可能性もありますし、場合によっては日足「雲」下限を一旦下抜ける可能性もないとは言えないでしょう。10月のFOMCを来週に控え、ここは過度に楽観することなく、より慎重に相場と向き合うことが重要であるものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役