ついに「秋の波乱」が現実のものとなってきました。NYダウ平均が9月につけた史上最高値=17,350ドルから1,000ドル超の下落となり、昨日(14日)は日経平均株価が終値で15,000円を割り込むなど、目下の市場にはリスク回避のムードが拡がっており、そのような状況下でドル/円も昨日は一時106.67円まで大きく下押す場面を垣間見ています。

振り返れば、本欄で「秋の波乱」の可能性を警戒し始めたのは今年7月2日更新分からであり、いくら「常に先々を予測することは重要」とは言え、さすがに先回りし過ぎたことについては大いに反省しています。とはいえ、もはや10月に入ってからの波乱は現実のものとなっており、今後は波乱のなかで生じているドル/円の調整がどの程度の水準まで進み、終了するのかを予測する時間帯ということになるものと考えます。

なお、前回の本欄で筆者は「今後ドル/円が本格的な調整を交えることとなるためには幾つかの条件をクリアする必要がある」と述べました。その条件とは、一つに「21日移動平均線(21日線)を明確に下抜けること」でありましたが、その点は先週7日、8日の価格推移のなかでクリアとなりました。また、「10月1日高値と10月3日高値で形成される小規模なダブルトップのネックライン=108円ちょうどの水準を明確に下抜けること」という条件も先週末から今週明けにかけてクリアされています。

ちなみに、ドル/円の日足チャートに一目均衡表(日足)を描画してみると、今まさに遅行線が日々線を上から下に突き抜けようとしている状況であることがわかります。この遅行線が日々線を明確に下抜けるのは「もはや時間の問題」と考えられ、そうなると当面の調整色は一層色濃くなるものと考えられます。

こうした現状を考慮したうえで、今後のドル/円の下値のメドとなり得る水準を幾つか想定してみますと、それは一つに前述したダブルトップのネックラインと10月1日高値=110.09円との間の値幅(約2円)をネック乱から下方にとった水準である106円あたりということになるものと見られます。これはダブルトップのような転換保ち合いのフォーメーションが完成した後によく見られるパターンです。

また、前回述べたように今年1月2日高値から2月4日安値までの下げ幅=4.69円を10月1日高値=110.09円から差し引いた値=105.40円あたりの水準というのも、今後は意識されやすいところとなりそうです。実のところ、105.40円あたりの水準というのは週足の一目均衡表において「基準線」が現在位置しているところでもあり、ご承知のとおり今年1月2日高値(105.44円)の水準とも重なります。

ここで、再び日足の一目均衡表に目を移しますと、仮に今後ドル/円が前述した106円や105.40円などといった水準まで下押す展開となった場合、一旦はドル/円が「雲」のなかに潜り込むこととなる可能性が高いこともわかります。そうなれば、やはり意識されやすくなるのは「雲」下限の水準であり、奇しくも10月のFOMCが行われる28-29日あたりの「雲」下限が105.40-50円あたりに位置することもわかっています。

もちろん、場合によってはドル/円が一旦は日足の「雲」下限を下抜けるような展開となる可能性もあり得るものと思われます。いずれにしても重要なことは、現在進行しているドル/円の調整が終了となったかどうかを、これから少し時間をかけながら確認して行くことであろうと考えます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役