昨日(9月2日)、ドル/円は105円台を回復し、今年1月10日に105.33円の高値をつけて以来の水準まで値を戻す展開となりました。もはや、今年1月2日につけた高値=105.44円まではあとわずかの値幅しかありません。果たして、ドル/円はこのままの勢いで年初来高値を更新することとなるのでしょうか。

一般に言って、それは決して容易いことではありません。何故なら、今年1月2日に105.44円の高値をつけて反落したことには、それなりに理由があったからです。よって、当面は105.00-50円というゾーンが強い抵抗帯になり得ると考えるのが普通ではないかと思われます。もちろん、いずれは105.44円を明確に上抜け、そこから一段と上値余地を拡げて行く局面が訪れることと思います。ただ、今はまだ「そのとき」ではないのではないかと、個人的には考えます。

ここで、あらためてドル/円の大きな流れを再確認するべく、下図に描画した月足のチャートで今後注目しておきたいポイントを幾つか挙げておくことにしましょう。まず、年初にドル/円が105.44円の高値をつけて反落した理由ですが、それは以前にも本欄で述べたとおり、一つに07年6月高値から11年10月安値までの下げに対する61.8%戻しの水準が105.50円あたりであり、そのことが多分に意識されたのではないかと思われます。

加えて、月足ベースの一目均衡表における「遅行線」(各月の終値を26カ月前の位置に記入したもの)が月足「雲」上限に到達し、同水準で上値を押さえられる格好になったことも重要と考えます。実のところ、下図でも確認できるように、07年6月に124.13円の高値をつけて反落した場面でも、月足の「遅行線」が月足「雲」上限に到達し、同水準で上値を押さえられるような格好となりました。

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ちなみに、遅行線はあくまで終値ベースですから、正確には13年12月の終値を元にした「遅行線」が「雲」上限に上値を押さえられたことになります。その意味で、現在の「遅行線」は「雲」上限を上抜けた格好となっているものの、これは9月末時点の水準を確認しないことには何とも言えません。なお、8月の終値は104.08円であり、同水準は当時の「雲」上限(104.47円)に届いていませんでした。

なお、今後「雲」上限が段階的にその水準を切り下げて行くことは見て明らかです。よって、仮に9月の終値ベースで「遅行線」が「雲」上限を上抜けることができなかったとしても、そう遠くない将来において「遅行線」が「雲」上限を上抜け、そこからかなり強気の相場展開が始まる可能性は高いものと今から想定しておくことは可能でしょう。

そもそも、非常に重要な意味を持つ31カ月移動平均線(31カ月線)は、すでに上向きの62カ月移動平均線(62カ月線)を下から上に突き抜けており(それぞれの移動平均線が持つ意味については本欄の14年3月5日更新分を参照のこと)、これは大きな流れが円安・ドル高であることをハッキリと示していると考えられます。よって、今後も月足のチャートを時折は確認し、まずは「遅行線」が「雲」上限を明確に上抜けるかどうかを、その都度チェックして行きたいものです。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役