長期投資とは、長期に投資活動を続けることであって、或る特定の対象に対する投資を長期に続けることではありません。例えを云うと、国に対して、その時その時の環境に合わせて、手替え品替え投資を続けることが長期投資であって、そのようなことにはメリットがあり得ますが、人口が減ってきているのに高速道路を造り続けることは長期投資ではなく、メリットはない可能性が高いです。
上段の例で、長期投資にメリットがあるとは書かず、あり得ると書いたのは、もしその対象が、長い、これは数年とか十年と云う単位で、価値が上がる傾向にあるならば、短い上下の波を乗り越えても、長期的には投資メリットがあるからで、長い価値上昇傾向がないならば、その対象に対しても長期投資のメリットはありません。長期投資は魔法の杖ではないのです。単に「長期投資は良い」と云う掛け声は、その前提次第では、中身のないスローガンです。

今回の日本株の上昇局面で、多くの個人投資家の方々は利食いをしてしまい、個人投資家の資産に占める現金・準現金比率は過去最高水準です。何故でしょう?最近は長期投資が何度も何度も喧伝・推奨されていたのではないか?答えは簡単です。日本株に対する長期的な見解が語られない中で、即ち長期投資の前提が語られない中で、長期投資のみが語られていたからです。だからちょっとの上昇で、個人投資家は投資から降りてしまったのです。少々分かりにくい話をしているかも知れませんが、これは本質的にとっても重要なことです。

当社マネックス証券は先週金曜日に、日経平均は3万円に行く、との社としての正式な見解を発表しました。そして来月から、「日経平均3万円への道」なる連載コンテンツや各種セミナーで、日本株に対する長期的な考え方を説明していきます。一緒に日本株の長期的な傾向を議論し理解していきましょう。その先に初めて日本株への長期投資が開かれるのです。乞う御期待!