今週6月16日(月)、マネックス証券にてオンラインセミナーを実施させていただきました。すでにオンデマンドでもご覧いただけるようになっておりますので、ご覧いただけますと幸いです。(http://ondemand.monex.co.jp/?action=lounge_detail&id=475)なお、今回のオンラインセミナーではユーロ/ドルと豪ドル/ドルについてのお話をさせていただきました。よって今回は本欄でも、その内容の一部として豪ドル/ドルの行方について筆者の見立てをご披露しておきたいと思います。ちなみに、ユーロ/ドルにつきましては本欄の5月28日更新分でも触れておりますので、よろしければご覧ください。

周知の通り、豪準備銀行(RBA)は13年5月に政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートを年率2.75%まで、同年8月には同2.50%(過去最低水準)まで引き下げることを決定しました。このことにより、豪ドル/ドルは13年4月高値=1.0582ドルから同年8月安値=0.8848ドルまで急落。その後、同年10月に向けて一旦は0.9757ドルまで持ち直す動きを見せたものの、反落後は急速に下げ足を速め、今年(14年)1月には0.8660ドルまで下押すこととなりました。

下の図でも確認できるように、今年2月初旬以降は再び豪ドル/ドルが持ち直す動きとなり、その間に「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム(逆三尊)」を形成。3月下旬あたりには、そのネックラインが位置する0.9080ドル前後の水準を明確に上抜け、逆三尊が完成した後はほどなく200日移動平均線(200日線)をも上抜け、その後は一気に上値を切り上げる展開となりました。

振り返ると、13年10月に0.9757ドルの高値をつけた時点では200日線に上値を押さえられ、強力に跳ね返されるような格好となったわけで、その200日線を3月下旬に上抜けたことは、それなりに強いインパクトであったと言えるでしょう。その後、4月10日つけた高値=0.9461ドルは、1月安値から前述した逆三尊のネックラインまでの値幅と同じ値幅をネックラインから上方にとった値とほぼ一致している、つまりセオリー通りの展開となったことは見逃せません。

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4月10日に直近高値をつけてから今日までは、基本的に一定のレンジ内でのもみあい商状を続けているわけですが、その間に0.9200ドル前後の水準には強い下値サポートが形成されたものと見られます。また、相前後する形で200日線が上向きとなり、その200日線を21日移動平均線(21日線)が上抜け、さらに足下では上向きの200日線を89日移動平均線(89日線)が上抜ける格好となってきました。つまり、これらの移動平均線は上から21日線、89日線、200日線の順番となったわけで、これは「パーフェクト・オーダー」と呼ばれる一つの強気シグナルであるということは重要なポイントの一つです。

今後の注目は、一つに5月14日高値=0.9408ドルを明確に上抜け、同水準をネックラインとするミニ・ダブル・ボトムが完成するかどうか。完成すれば4月10日の年初来高値を上抜け、まずは0.9600ドルあたりの水準を試すというのがセオリーと言えます。もちろん、当面の下値サポートと見られる0.9200ドルを再度試すような展開となれば、トリプル・ボトムを形成することとなる可能性もあり、その点は今後もしっかりと見定めて行く必要があるでしょう。どのみち、ここでしっかりと下値を固め、保ち合いレンジを上放れることとなれば、いずれは13年10月高値を試す展開になるものと見られます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役