私はかつて米系の投資銀行に12年間勤め、朝から晩まで英語漬けでしたが、英語の上達にはキャップ(天井)があって、それ以上は上手になりませんでした。マネックスを創業してから英語を使う量は恐らく100分の1ぐらいに減ったのですが、或るきっかけで国際会議に出るようになり、あっと云う間に英語でのコミュニケーション能力が飛躍的に上がりました。

その国際会議は金融のものではなく、政治や宗教やテクノロジーの話もあり、最初は用語も全く分からず、あらゆる地域からの人が来ていたのでアクセントも強くて、とにかくみんなが何語を話しているのか分からないほどだったのですが、すぐに英語に対する能力の幅が大きく広がっていったのでした。

おばあちゃんに一日中守られていたら、幼児はいつまで経ってもコミュニケーションは上達しません。何でもおばあちゃんが先回りして幼児の要求を分かってしまうからです。保育園に放り込まれると、自分から何が欲しいとコミュニケートしないと何も与えられないので、予めビルトインされているコミュニケーション能力が初めて開花するのだと思います。他流試合して、初めて実力が付くようなものでしょうか。

そして国際会議に出て、視野も広がり、普段のビジネスの延長では出会わない多くの人に会い、人生の中で最も大切な友人も、何人か作ることができました。最近は国際会議は行きませんが、或る程度の課外活動はしています。これもダイバーシティ・メリット、多様性の効用のひとつでしょうか。適度の課外活動は、これからも大切にしていきたいと思います。