今回は、本欄の前回(4月2日)更新分の内容をおさらいし、その後どのような展開になったのかをしっかり確認しておきたいと思います。前回は、主にドル/円の価格推移から見出される一目均衡表の「雲」と「遅行線」との関係性に注目し、目先的に上げ渋る(天井打ちとなる)可能性に触れたうえで、当面の上値メドを想定しました。

まずドル/円の日足については、前回更新時において一目均衡表(日足)の「遅行線」が日足の「雲」上限に接近している状況に注目しました。2日時点において、同日を含む26日前の日足「雲」上限は104.03円に位置しており、ほぼ同じ水準に2月初旬から形成されている緩やかな上昇チャネル上限が位置する状況にあったことから、筆者は「やはり104円を少し超えたところは市場で意識されやすい」と述べました。

その後の推移は下図(左)に見るとおりで、結局、日足の「遅行線」は「雲」上限を上抜けることができず、むしろ「雲」上限に押し戻されるような格好で一気に下降することとなりました。さらに、昨日(8日)は日足の「遅行線」が「雲」下限をあっさりと下抜ける展開となっており、その「遅行線」が日々線をも下抜ける状況となっていることで、目下は弱気ムードが一段と強まりやすくなっています。

また、前述した上昇チャネル上限もドル/円の上値を押さえる役割を果たしたものと考えることができるでしょう。このチャネル上限付近で目先天井打ちから反落となった場合には、一般に「いずれチャネル下限を意識した展開になって行く」と考えるのがセオリーということになるのですが、案の定、昨日は一時的にもそのチャネル下限を試すようなレベルまで大きく下押しすることとなりました。逆に言いますと、昨日の下げが101.55円で止まったのは決して偶然ではなく、そこにチャネル下限が位置していたからということになるものと考えられます。

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一方、ドル/円の月足チャート上に描画した月足の「遅行線」と月足「雲」の関係については、上図(右)を見ていただければ一目瞭然でしょう。前回更新分で述べたとおり、過去においてドル/円の月足「遅行線」が肝心なところで月足「雲」上限に上値を押さえられた場面というのは幾度か確認することができます。

近過去においては、今年1月2日に一時105.44円まで上昇した場面というのがまさにそれで、この月足「雲」上限という存在が「いかに強力な上値の壁となっているか」ということを、あらためて思い知らされる事例となりました。逆に言いますと、いずれこの壁を突き破って上に抜けるような展開となった場合には、そこから相当に強い上昇相場がスタートすると想定することもできるわけで、今しばらくはそんな場面が訪れるのかどうかをじっくりと見定めておきたいところです。

なお、前述したように足下では弱気ムードが強まっており、当面はチャネル下限を明確に下抜けるかどうかに十分注目しておく必要があります。仮に、同水準を下抜けた場合には再び3月に幾度か下値を試した水準=101.20円前後が意識されやすくなり、以降は同水準を下抜けるかどうかの正念場となる可能性もあるでしょう。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役