3月も中旬に差し掛かり、いよいよ4月からの消費増税も秒読みとなってきました。そこで最も気になるのは、やはり「増税後の日本の景気はどの程度落ち込むのか?」ということでしょう。3月11日付の日本経済新聞は「『増税後』にじむ警戒感」との見出しを打った記事のなかで、内閣府が実施・発表した2月の景気ウォッチャー調査において2~3か月後の景気を見る先行き判断指数が3カ月連続で悪化したことを伝えています。
97年の実施以来長らくなかった消費増税ですから、実際にどのような影響がもたらされるかはまったくの未知数です。そのような状況にあって、国内外の投資家が「とりあえず行方を見守りたい」と考えるのは当然のことでしょう。結果、日本株の上値は重くなりがちとなり、場合によっては日経平均株価がある程度まとまった調整を強いられることとなる可能性もあるものと思われます。もちろん、そうなれば"ニワトリとタマゴ"の関係にあるドル/円の値動きもしばらくは調整含みの展開を続ける可能性があります。
本欄の今年(14年)2月19日更新分でも述べたように、日経平均株価の昨年12月30日高値=16320円は、11年11月安値=8135円を始点とする【第1波】の終点であると考えることができるものと思われます。そうであるとするならば、今年の年明け以降は【第2波(=修正波)】の局面に入っており、この調整は基本的にA―B―Cの3波構成になると考えるのが一般的です。
周知のとおり、年明け1月6日以降の日経平均株価は大きく値下がりし始め、2月5日には一時的にも14000円を割り込む場面を垣間見ました。この動きをA波とすれば、2月6日から始まったリバウンドはB波と捉えることができるように思われます。では、果たしてこのリバウンドはいつまで続くのでしょうか。実のところ、すでに2月6日からのリバウンドは終了した可能性もないではないものと思われるのです。
下図にも見られるとおり、2月6日以降の日経平均株価は一目均衡表(日足)の「雲」下限に引き寄せられるかのように、ジワリジワリと戻りを試す展開を続け、3月7日には一時15278円まで上昇するに至りました。しかし、いまだ日足「雲」下限を上抜けることができておらず、本日(12日)の寄り付きなどは、わざわざ「雲」下限の水準に合わせるかのように前日終値比で大幅に安い水準からのスタートとなりました。
実は、3月7日高値=15278円は、昨年12月30日高値から今年2月5日安値までの下げに対する50%戻しの水準=15158円に近く、ひとまず同水準までの戻りを見たことで一定の到達感が市場に広がっていることが考えられます。また、今年1月6日から2月5日までの日数「23日」と2月6日から3月7日までの日数「23日」が同じであるということを、一つの時間的節目と捉える向きもあります。さらに、3月7日に直近高値をつけた時点で日足の遅行線が日足「雲」上限に押さえられたことや、今週に入ってから日足「雲」の天地が反転する状態(=ねじれ)が生じていることも少々気に掛かります。
あくまで一つの可能性に過ぎませんが、今後、日経平均株価が2月6日以降に形成されてきた上昇チャネルの下限を明確に下抜けるようであれば、すでにリバウンドは終了したとの感触が強まることと思われます。結果、日経平均株価の動きに連れてドル/円が調整色を強めるかどうか、3月下旬から4月に向けて注目しておきたいところです。
コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役