周知のとおり、米国では日本時間の明日(19日)未明にFOMCの結果公表、引き続いてバーナンキFRB議長の会見という非常に需要なイベントが控えています。それに伴って目下の市場は様子見ムード一色となっており、目先的な相場の行方についてはイベント通過後の市場の反応を見てから判断することが肝要であるものと思われます。

そこで、今回は相場を少し遠目に眺めることで、今後の大きな流れを想定してみることにしましょう。用いるのは「月足」のローソク足チャートと一目均衡表で、ドル/円については本欄の13年10月23日更新分でも分析を試みていますから、今度はユーロ/ドルについて見てみたいと思います。

すでにご承知の向きも多いことと思われますが、下図にも見るとおり、現在ユーロ/ドルが位置している水準には、大きく3つの上値抵抗を確認することができます。それは、まず08年7月高値と11年5月高値を結ぶ「長期レジスタンスライン」の存在です。これを見る限り、08年7月に1.6038ドルという史上最高値を記録して以降のユーロ/ドルは、大きな流れとして基本的に下落基調を辿っていることが明らかであり、そこに認められるレジスタンスラインの存在はかなり強力であると言わざるを得ません。

次に月足の一目均衡表を見ると、現在水準の上方には「雲」の存在が認められます。目下は、この「雲」下限を上抜けるかどうかの瀬戸際にあり、今年の10月高値=1.3832ドルがそうであったように、一時的にも「雲」下限を上抜けることはあり得るものと思われます。しかし、この「雲」下限はどうにかなっても「雲」上限はかなり手ごわいものと考えねばならず、同水準を上抜けるには相当のエネルギーとそれを裏付ける材料が必要になるものと見られます。まして、前述のレジスタンスラインはすでに「雲」上限より下方に位置するようになっており、ここは二重の抵抗となっているのです。

加えて、月足の一目均衡表における「遅行線」が現在、月足ローソクを上抜けるかどうかの瀬戸際にあることも見逃せません。さらに、その上方には月足の「雲」が控えていることもあり、そう易々と遅行線が月足ローソクを上抜けるとも思えません。少なくとも、市場関係者や投資家の多くは、これらの上値抵抗よりもさらに上方へと買い進むことを「リスク」と考えます。もちろん、抵抗が強いほどリスクも大きくなります。

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そもそも、ユーロ/ドルにとっては今年の10月高値=1.3832ドル自体が一つの大きな節目であり、同時に一つの上値抵抗です。12月11日に直近高値=1.3810ドルをつけたユーロ/ドルが、この10月高値を目前にして上げ渋ったという事実も「ここからの上値抵抗はなかなか手ごわい」との印象を強めることに貢献しています。

仮に今後ユーロ/ドルが調整含みの展開になると、10月高値と12月高値の「ダブルトップ」のフォーメーションが形成されているとの感触を強めるものと思われます。そうした感触は、ユーロ/ドルが21日移動平均線を明確に下抜けると一段と強まるものと見られ、以降はダブルトップの「ネックライン」が位置する1.3295ドルが意識されやすくなる可能性があるものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役