昨日(10月1日)のドル/円は、日本時間11:00台に98.72円の高値、18:00台に97.66円の安値をつけ、NY終値は97.99円まで値を戻しました。ちなみに、この日の安値は前日(30日)の安値=97.50円を下回っていません。

こうした値動きにファンダメンタルズ的な解釈をつけると「1日午前の段階では『米共和党指導部が最終的に妥協する』といった声も聞かれ、一時はドルが買い戻される場面もあったが、結局は期限切れとなったことから、あらためてドルは売られた。NY時間には米経済指標の改善や政府機関の閉鎖は短期間との見方から米株とドルに買い戻しが入り、結局のところドル/円は前日(30日)の安値を下回ることなく、ある程度値を戻してNY時間の終わりを迎えた。振り返れば、30日の安値をもって当面の悲観材料は大方織り込まれたものと見られる」などとなるのでしょう。

しかし、この解釈では一体、なぜ1日の高値・安値・終値や30日の安値が前述の水準となったのかは、さっぱりわかりません。1日の高値はもっと上方に位置してもよかったかも知れませんし、1日の安値が30日の安値を下回らなかったことの理由が「織り込み済みだった」というだけでは、どうも釈然としません。もちろん、そのあたりは古くからの相場の格言にもあるように「相場のことは相場に聞け」であり、換言すればテクニカル的な相場へのアプローチを軽視してはならないということだと思います。

すでにお分かりのことと思いますが、下図に見るとおり、ドル/円の日足チャートに何本かのトレンドラインを引いてみれば、数多くの疑問の答えがハッキリと明らかになってきます。まず、30日と1日の安値はともに6月13日安値と8月8日安値を結ぶサポートライン(図中の赤実線)に支えられたことがわかります。また、30日と1日の終値はともに一目均衡表(日足)の「雲」下限より上方の水準に留まりました。もちろん、この日足「雲」下限を終値ベースで下回らなかったということが重要なのです。

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さらに、30日の安値が5月22日高値と7月8日高値を結ぶ以前のレジスタンスライン=転じて現在はサポートライン(図中の青実線)に下支えされたことも分かりますし、1日の高値が9月11日高値とそれ以降の高値を結ぶレジスタンスライン(図中の紫点線)に頭を押さえられた格好となったこともわかります。

よって、今後注目しておかねばならないのは、まず目線を下に向けた場合、終値ベースで一目均衡表(日足)の「雲」下限を下抜けるかどうか、さらに6月13日安値と8月8日安値を結ぶサポートラインを下抜けるかどうかということ。次に、5月22日高値と7月8日高値を結ぶラインを下抜けるかどうかということになるでしょう。また、非常に重要なシグナルとなる日足の「遅行線」が日々線を下抜ける格好となるかどうかということにも、大いに注目しておく必要があると考えられます。

その一方、逆に目線を上に向けた場合は、まず9月11日高値とそれ以降の高値を結ぶレジスタンスラインを上抜けるかどうか、次に5月22日高値と9月11日高値を結ぶもう一つのレジスタンスラインを上抜けるかどうかという点が注目されます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役