先週17-18日に行われたFOMCで、FRBが量的緩和政策(QE)による債券買い取りの規模縮小開始を先送りすることを決めてから一週間...。市場には先行き不透明感が漂い、方向感の掴みにくい不安定な展開が続いています。よって、ここであらためてドル/円相場の大きな流れをおさらいし、今後の展開を予想してみることとしましょう。

まず、本欄の13年6月19日更新分などでも指摘してきたように、ドル/円は12年2月安値を始点とする5波構成の強気相場を形成しており、そのなかで13年5月高値は「第3波」の終点=「第4波」の始点になったものと見られます(下図参照)。そして、本欄の13年8月28日更新分でも指摘した通り、この「第4波」の修正波は「トライアングル」のパターンを形成しながら(図中の赤点線)徐々に煮詰まった後、そのトライアングルの上辺にあたる強い上値抵抗線を明確に上抜けたことで、ついに「第4波」の局面を脱した(13年9月4日更新分参照)との感触が得られることとなりました。

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すでに、ドル/円が「第5波」の上昇局面に入っているとした場合、果たして、この上昇局面はいつ頃まで続くものと考えれば良いのでしょうか。一つ参考にしておきたいと思われるのは、過去に本欄でも幾度か指摘してきたドル/円の「45-50週安値サイクル」です。上図でも確認できるように、過去のドル/円の価格推移には45-50週ごとに主要な安値を付けるパターンが認められています。例えば、09年11月安値から10年11月安値までが50週、11年10月安値から12年9月安値までが46週といった具合で、近過去において12年9月安値を始点とするサイクルが終点を迎えたのは、どうやら13年6月安値(=93.79円)であったと見ることができそうです。

そうであるとすると、13年6月安値を始点とする次の「45-50週サイクル」の終点は、14年4月中旬から5月下旬あたりにかけて訪れるということになり、その間に13年6月安値から一旦は上昇して、どこかでサイクル高値を付けて反落するということになるものと見られます。ちなみに、このサイクル高値というのは、必ずしも始点から23-25週後(安値と安値の真ん中)あたりに付けられるわけではありません。大きな流れが弱気であるときには、どちらかというとチャート上で左側にずれ(=レフト・トランスレーション)、大きな流れが強気であるときには、逆にチャート上で右側にずれる(=ライト・トランスレーション)傾向があるのです。

その実、12年9月安値を始点とする安値サイクルのサイクル高値は13年5月下旬となりました。その終点は13年6月半ばですから、かなりチャート上で右側にずれたことになります。よって、今年6月安値を始点とする安値サイクルのサイクル高値は、始点から大よそ30週ほど経過した後あたりに付けられるのではないかと想定され、計算してみるとそれは来年の1月、あるいはもっと右側にずれて3月あたりと考えられます。

なお、すでに足下で「第5波」がスタートしているとして、この「第5波」が終わったら大きな流れとしてのドル/円の上昇は終わってしまうのかというと、決してそうではありません。現在進行中の5波動というのは、より長期の次元における5波構成の強気相場のなかで考えれば、その「第1波」過ぎないと考えれば良いものと思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役