ついに、ドル/円が96円台後半の水準まで一時的にも上伸してきました。2月初旬に一旦94円台に乗せてからは、しばらく94円前後でもみ合ったものの、なかなか94円台半ばの水準を上抜けできない状態が続きました。その後、2月下旬のイタリア・ショックの影響もあって、長らく下値支持として機能していた21日線を下抜けたときには、いよいよ12年9月安値を始点とする「第3波」も終了するのではとの思いが脳裏をよぎりました。

それは第一に、ドル/円の94円あたりの水準というのは07年6月高値から11年10月安値までの下げに対する38.2%戻しの水準であり(本欄の13年2月6日更新分参照)、ひとたび同水準にまで達すると一定の到達感が広がりやすくなると思われたためです。第二にイタリア・ショックが相場を揺るがした時期というのは「ドル/円の11-13ヶ月高値かつまた45-50週安値サイクルのハーフ・サイクル・トップをつけてもおかしくない時期」にあった(本欄13年2月20日更新分参照)ということもあります。

しかし、実際には3月7日に94円台半ばの水準を超え、翌8日には96円台に乗せる動きとなり、どうやら「なおも第3波は継続している」と考えることもできそうな展開となってきました。なお、前述した「ドル/円の11-13ヶ月高値かつまた45-50週安値サイクルのハーフ・サイクル・トップをつけてもおかしくない時期」というのは、ともに4月初旬あたりまでであれば有効です。それでは、仮に第3波がなおも継続しているとして、その目標値というのは一体どのあたりと想定すれば良いのでしょう。

下の図に見るように、本来、第3波の目標値として最もノーマルと考えられるのは、12年2月安値から同年3月高値までを指す「第1波」の値幅×1.618+第3波の始点が位置する水準(77.13円)=90.30円あたりです。しかし、実際の相場は同水準をとうに上抜けており、そこからは「第3波にエクステンション(延長)が生じた」と考えるのが波動理論のセオリーです。

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とまれ、ここでエクステンションが生じているとして、その目標値というのはどのあたりになるのかというと、まずは「第1波」の値幅×2.382+77.13円=96.54円という値が弾き出されます。実のところ、同水準というのは3月8日ならびに3月12日につけた高値水準に近く、場合によっては「このあたりで第3波は終了」となることもあり得ます。しかし、仮に同水準をも上抜けるような展開となった場合には、次に「第1波」の値幅×2.618+77.13円=98.47円が当面の目標として意識されるようになるものとされています。

さらに、そのまた上の水準を目指すとすれば、それは07年6月高値から11年10月安値までの下げに対する50%戻し=100円あたりということになり、今後はそうした幾つかの目標水準を念頭に置きながら「いつ、どの水準で第3波が終了するのか」をしっかりと見定めることが重要であると思われます。

コラム執筆:田嶋 智太郎
経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役