執筆時は米大統領選の開票結果が各州から伝わってきており、その結果に一喜一憂する相場展開となっていますが、前回(10月31日)更新分の本欄でも述べたとおり、足下の米国景気が住宅や個人消費を中心として緩やかな改善傾向を示していることは紛れもない事実です。加えて、先に発表された10月の米雇用統計も強めの結果となり、いきおいドル/円は一時的にも80.67円までの戻りをみるに至りました。

本稿の2012年10月24日更新分でも述べているように、ドル/円は10月半ばに日足の一目均衡表で「三役好転」となった後、ほどなく9月19日高値=79.22円を上抜け、次いで上向きの200日移動平均線(200日線)をも上抜けたことで、一気に上げに弾みがつく格好となりました。

そして、予想していた通り80.55-65円の重要な節目に到達し、そこで上げ一服となっているのが現在の状況です(下図/左参照)。同水準は3月高値から9月安値までの下げに対する50%戻しの水準でもあり、こうした重要な節目が重なるところで値動きが一旦止まることは致し方のないことと言えます。

もちろん、それだけに同水準を今後上抜けたときのインパクトは大きいと言え、その場合はまず週足ベースの一目均衡表において現在「雲」の上限が位置している80.82円が意識されやすくなるものと思われます。奇しくも、同水準はドル円の31ヶ月線が上から降りてきているところでもあり、仮に同線を月足ロウソクが実体部分で上抜けるとするならば、それは2007年10月に同線を下抜けて以来のこととなります。

逆に、米大統領選の結果に対する市場の反応などにより、一時的にもドル/円が下押しする展開となった場合、当面の下値メドとなるのは、やはり200日線になるものと見られます。もちろん、目下の同線は上向きであり、これは相当に強い下値支持としての機能を果たすものと考えていいでしょう。

一方で、今度はユーロ/ドルと200日線との関係を見てみましょう。上図/右に見られるとおり、9月、10月の200日線は概ね横這いから若干上向きで推移し、その間はユーロ/ドルの下値支持として機能していたことがわかります。本稿の2012年10月10日更新分でも一部触れている通り、この間は日足の終値ベースで200日線を下抜けることがありませんでした。

しかし、11月5日~本日(7日)までの推移をみると、ユーロ/ドルは明らかに200日線を下抜けてきていることがわかります。しかも、この200日線はやや下向きになってきています。これは基本的には弱気のシグナルと考えるのがセオリーであり、場合によっては少々まとまった値幅で下値を試しに行く可能性も念頭に置いておかねばならなくなってきました。

一つの下値メドとしては、日足の一目均衡表において「雲」の下限が位置する1.2600ドルが考えられます。実のところ、同水準は7月安値から9月高値前の上げに対する50%押しの水準とピッタリ一致すると同時に、過去の価格推移において幾度も意識されてきた重要な節目の水準でもあります。

このところ徐々に強さを増してきたドルが、今後は対ユーロでもその強みを発揮するのか、はたまた米大統領選の結果に対する市場の反応が一時的にも混乱を招くのか、そして様々な状況下において200日線がどのような役割を果たすのか、などといった点には今後も大いに注目しておきたいものです。