今回は、少々ご無沙汰となっております豪ドル/円の値動きにあらためて注目し、今後の行方を展望しながら、その買い時や売り時について再検証してみたいと思います。

言うまでもなく、豪ドル/円は国内の投資家の間で根強い人気があり、現在も買いポジションを持ち越し続けている方が数多くおられることでしょう。しかしながら、世界全体の景況感の強弱に敏感な通貨だけに、停滞・減速を余儀なくされている目下の状況にあっては長らく上値の重い展開を余儀なくされています。

では、まずテクニカルな観点から現状を分析してみることにしましょう。下の図にも見られるとおり、豪ドル/円は今年3月高値から6月安値まで大きく値を切り下げた後、その下げ幅の61.8%戻しにあたる水準まで、8月初旬にかけて大きく値を戻すこととなりました。本欄の2012年8月8日更新分では「この61.8%戻しの水準を明確に上抜ければ、一段の上値を取りに行く」と述べていますが、結局は同水準を明確に上抜けるには至らず、再び下げに転じる結果となってしまいました。

ただし、6月中旬以降の価格推移を見ると、豪ドル/円の下値余地は3月高値から6月安値までの下げに対する38.2%戻しの水準=79.87円あたりまでに限られていることもわかります。この水準は、今後も一定の下値サポートとして機能しやすいものと考えておいていいでしょう。

次にボリンジャーバンドとの関係を見ます(ボリンジャーバンドについては本欄の2012年2月8日更新分参照)。下の図でも確認できるように、大雑把に言えばボリンジャーバンドの+2σおよび-2σが相場の「天」と「地」になっているわけですが、それは必ずしも+2σおよび-2σの水準に近づいたら逆張り的に「売り」および「買い」と判断すれば良いということを意味するものではありません。その理由は、図中の点線だ円の部分を見れば一目瞭然と言えるでしょう。

では、どのように適当な「買い時」、「売り時」を見出せばいいのでしょうか。何より注目したいのは、中心線(図の場合は20日線)と市場価格との関係です。たとえば、市場価格が中心線を明確に上抜けてきたら「買い」、その逆の場合は「売り」と考えます。さらに、市場価格が+1σを明確に上抜けてきたら「買い」乗せ、逆に-1σを明確に下抜けてきたら「売り」乗せが有効と考えればいいでしょう。

仮に「買い」と判断された場合は、その目標値(=利益確定ポイント)が+2σ、逆に「売り」と判断された場合には、その利益確定ポイントが-2σと考えることが重要です。そうすれば、かなり確度の高い取引が可能になることと思われます。

足下の状況を見ると、豪ドル/円は中心線を明確に上抜けてきているため、ここは「買い」、利益確定ポイントは+2σの水準ということになりそうです。もちろん、これはあくまで短期スタンスを前提としたものです。より賢明に中期的なスタンスを前提とするのであれば、やはり前述した38.2%戻しの水準で下値が支えられたとの確認ができたとき、あるいは長らく上値の抵抗となっている61.8%戻しの水準を明確に上抜けたときということになるでしょう。

周知の通り、豪州準備銀行(RBA)は10月2日に政策金利であるオフィシャルキャッシュレートを3.50%から3.25%に引き下げました。結果、上図でも確認できる通り、その前後において豪ドルは弱含みの推移となっています。しかしながら、大方の市場予想に反する格好で実施された今回の利下げは、かえって当面の追加利下げ観測を後退させることにつながっているのも事実です。また、そもそもRBAの利下げは、あくまで世界景気の急減速といった不測の事態に備える予防的措置であるというのが市場のコンセンサスでもあります。

考えてみれば、米大統領選や中国共産党大会の開催まで残すところ約3週間です。それらのビッグ・イベントを通過し、米国が「財政の崖」の問題を回避する、あるいは中国が新体制の下で強力な景気刺激策を実施するなどといった見通しが強まった場合は、豪ドルにも相当に強い買い圧力がかかってくるものと思われます。