各国政府、政府系金融機関、政府系ファンド、そして中央銀行。世界中で、広義の"国"が、あらゆるものを買っています。日本然り、アメリカ然り、ヨーロッパ然り、そして中国も。国債、ETF、個別企業、社債。その対象も幅広いものです。これは大掛かりな間接金融です。

国という行政組織は、単一なひとつの存在です。理屈で云うと、全ての判断は総理大臣(もしくはその他行政府トップ)が最終的に行っているとのレトリックもあり得ます。世界中の個人の税金や預貯金を原資に、数少ない判断主体が買い物をしています。今のような様々な状況下では、致し方ないのかも知れません。明らかに、やらないよりやった方がいいでしょう。

しかし本来、世界の主力構成要素が国家から個人に移っているこの時代に、個人ではなく国が何を買うかを決めている状況は合理的でありません。個人からお金を集めて使うのではなく、個人がお金を使いやすくさせる施策を、我が国も含めて、世界は真剣に考えていかなくてはいけないでしょう。