前回(2012年2月1日更新分)の本欄では、当面のユーロ/ドルの戻りメドについて触れ、それは一つに「2010年8月以降に形成されていたと考えられるヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ(三尊天井)のネックライン」であると述べました。

そして昨日(2月7日)、ユーロ/ドルは一時1.3270ドルにまで上昇し、このネックラインにタッチする格好となりました。一つの目標水準に到達したことから「そろそろ戻り一巡」と考えたいところではありますが、前回更新分でも述べたとおり、ここで安易に売り仕掛けられるわけでもありません。

先週末発表された1月31日時点でのシカゴ筋によるユーロの取り組み状況は15.75万枚の売り越しと、ようやく前週から売り越しが減少しましたが、それでも依然として高水準であることに変わりはありません。はてさて、今後のユーロ/ドルの行方は? 参考のために、ここでもう一つ確認しておきたいテクニカル指標の一つ、ボリンジャーバンドを見ておくことにしましょう。

下のチャートに描画しているのは、21日移動平均線(21日線)と同じ対象期間における価格変動の標準偏差=シグマ(σ)、その2倍に相当する2σを21日線の上下に表示したボリンジャーバンドです。これは、21日線と市場価格との関係に注目し、移動平均線とのかい離が拡大したところで逆張りすることを基本コンセプトとしています。

つまり、一般的にはバンドの両端(+2σおよび-2σ)がレジスタンスおよびサポートになると考え、+2σ付近に達したら売り、-2σ付近に達したら買いという判断を下すことになるのです。チャート上では、点線で囲んだ【B】の時点において、そうした考え方が有効であったことがわかります。その意味で、足下の価格は+2σ付近にあるわけですから、そろそろ売りのタイミングと考えてもよさそうなものです。

(図をクリックいただくとファイルをダウンロードしていただけます。)

しかし、チャート上の点線で囲んだ【A】の時点では市場価格が幾度も+2σを上方に突破して、なお上昇基調が続きました。また、チャート上の点線で囲んだ【C】の時点では市場価格が幾度も-2σを下方に突破して、なお下落基調が続きました。実は、このボリンジャーバンドでは、市場価格がレンジ相場を逸脱してトレンドを形成しようとしている場合、前述した考え方とは正反対に、+2σ突破をもって買い、-2σ突破をもって売りとするトレンド追随型の売買シグナルと見做すこともあるのです。

こうなってくると、なかなか判断は微妙ですよね。一つの考え方として「終値ベースで2日連続したら」という「2日ルール」の順守を常に心掛けるというのは有効であると思われます。また、より確実に行きたければ「21日線を終値ベースで2日連続して上回ったら買い(あるいは下回ったら売り)」とし、その場合の到達目標を+2σ(あるいは-2σ)とするというのも有効ではないでしょうか。

現状で言えば、やはり「ユーロ/ドルが21日線付近まで下落してくる状況を模様眺めしておき、終値ベースで2日連続して同線を下回ったら売り」と判断することが最も無難と言えるでしょう。

なお、場合によっては「21日線付近まで下がってきたけれど、終値ベースで2日連続して同線を下回らなかったので買い」という判断が有効となる可能性もあります。