個人投資家の皆さんから絶大な人気を得ている豪ドル/円。長らくの間、ドル/円が極めて動意に乏しい展開を続けてきたことも豪ドル/円が人気の理由の一つです。

そんな豪ドル/円の値動きに、いま、一つの「転換保ち合い」のフォーメーションを形成する可能性が高まっています。それは「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム」、いわゆる「逆三尊」と言われるもので、以前(2011年11月09日更新分)本欄でご紹介したユーロ/ドルの「三尊天井」と真逆のスタイルとなります。

つまり、いま仮に豪ドル/円が逆三尊のフォーメーションが形成しており、それが「完成」した場合には「それまでの下落基調が上昇基調に転換したとの感触が強く得られることになる」ということです。なお、ここで言う「完成」とは市場価格がネックラインに到達した状態を指し、具体的には下のチャートでも確認できる通り、9月1日高値と10月31日高値を結んだ直線がネックラインとなります。

図:株式会社アルフィナンツ作成 ※グラフをクリックいただくと拡大版をPDFファイルでご覧いただけます。

もちろん、同フォーメーションが完成するに至るまでには、まだまだ時間もかかるでしょうし、その間には紆余曲折もあるでしょう。そこで、最近の値動きをあらためて確認すると、まずは11月29日の値上がりによって、一目均衡表の日足「雲」を終値ベースで上抜けてきたことがわかります。これは、紛れもなく一つの強気シグナルと捉えることができ、今後はこの日足「雲」を下値支持役とする可能性が期待されます。

また、11月29日の時点では一つの上値抵抗となっていた「10月31日高値から11月24日安値までの下げ幅に対する38.2%戻しの水準」ですが、本日(11月30日)になって同水準を上抜けてきたことも注目されます。仮に、同水準を明確に上抜けると次に50%戻し=79.37円、61.8%戻し=80.45円などが意識されやすくなるというのがセオリーです。

ただ、この一目均衡表をよく見てみると肝心の「遅行線」が、なおも日々線の下方に位置していて、今後、日足「雲」や日々線自体を上抜けるには、まだ一定の時間が必要になるということもわかります。よって、これからは遅行線の動きについてもよく見定めておきたいところです。

それと、もう一つ。豪ドル/円などクロス円全般の今後に大いに影響するドル/円の値動きにも、やはり注目しておかねばならないでしょう。まず、ドル/円は11月23日以降、一目均衡表の日足「雲」の上にひょっこり顔を出しています。結果、チャートから受ける印象が大分変わってきたことは否定できません。

目下は「78円台での値固めに成功するか否か」が焦点ですが、今後、仮に横這い以上で推移すると数週間以内には2007年6月高値からの長期レジスタンスラインをついに上抜けることとなります。なにしろ約4年ぶりのことですから、そのインパクトは小さくないものと思われます。

コラム執筆:

田嶋 智太郎

経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役