今回は、ユーロ/ドルの週足(2年)チャートで説明したいと思います。 以下のグラフの通り、ユーロドル相場は【A】の地点や【B】の地点などで明らかに基調(=トレンド)が転換しています。実際の投資判断においては、例えば【B】の地点からしばし様子を見て、基調転換したとの感触が強まったところで「買い」注文を出すという運びになるでしょう。さて、ここで問題になるのは「その買いポジションを一体、いつまで保持(ホールド)するべきか?」ということではないでしょうか。つまり、当面の上値メドと目される水準はどのあたりか?ということです。

そのようなときに、よく用いられるのが「フィボナッチ比率」と呼ばれるもので、具体的には「38.2%」や「61.8%」などといった数値です。フィボナッチ比率というのは、その原型となる「フィボナッチ数列」から導き出されたもので、ご存知の方も多いと思いますが、その数列とは以下の通りです。

 1・1・2・3・5・8・13・21・34・55・89......  (21や89という数字には見覚えがあることと思います)  これらの数字は前2つの数字の和となっており、例えば5は2と3の和。そして、最初の2つを除けば、各数字の前の数字に対する増加率は徐々に1.618に近付いて行くことがわかります。この1.618という数値は、有名な黄金分割(別名「黄金比」)に共通するもので、 1 対 1.618 という比率は長方形の縦と横の関係など「安定した美観を与える比」とされています(名刺やトランプなどにも応用されています)。紙幅の関係もあり、黄金分割やフィボナッチ比率に関する詳細は割愛させていただきますが、ともかくマーケットで起きる価格変動にも十分に応用できる数値として、多くのプロが相場分析や投資判断に活用していることだけは間違いありません。

ここで上記のチャートに戻って、【B】を起点とする上昇相場は当面、どの程度の水準を目指すか?を考えます。それは、まず【A】から【B】までの下げ幅に対して38.2%戻った水準であり、実際に【C】は「ほぼ38.2%戻し」の水準となりました。
 次に【C】の地点から一旦、調整を交えたユーロ/ドルは後に再び【C】の水準を上抜けて上げ幅を拡大して行きます。果たして、この上昇相場は当面、どの程度の水準を目指すと考えたらよいでしょうか。今度は、先にも用いた【A】から【B】までの下げ幅に対して61.8%戻った水準を目安と考えます。そして、結果的に【D】が位置するところは「61.8%戻し」を少し超えた水準となりました。

さて、ここで考えたいのは【E】の地点で相場が下落基調に転換した(いまだ確たるものではありません)として、当面の下値のメドはどのあたりと見られるか?ということです。それは、ひとつに【B】から【E】までの上げ幅に対して38.2%下押しした水準ということになり、計算では1.3769ドルあたりという結果が得られます。