過去の価格推移をチャートで眺めて今後の行方を考える際、一般に投資家が注目するのは、以前の高値・安値や移動平均線、トレンドラインなどの位置など、その「水準(=縦軸)」から判断することが多いものです。

しかし、過去に多くの功績を残した偉大なる賢人(分析者)たちの多くは、むしろ「時間(=横軸)」の方を重視すべきであると説いています。つまり、過去に目立った高値あるいは安値をつけてから、現在に至るまでにどの程度の時間が経ったのかによって、次に基調転換のタイミングが訪れる可能性を、ある程度予測することができるというのです。

その「時間」の設定に関しては幾つかの方法がありますが、一つには「過去の価格推移のなか(チャート上)で何度も同じような相場変動のパターンが確認できる期間」とすることが有効とされ、その期間のことを「対等数値」と呼んだりもします。

それでは、実際にドル/円の週足チャート(過去4年)で、そうした考え方が有効かどうか確認してみることにしましょう。

図:株式会社アルフィナンツ作成

まず、チャート上【A】の期間というのは、主だった安値から次の安値に到達するまでの期間で、ここでは45週となっています。次に【B】を見ると、これも主だった安値から次の安値に到達するまでの期間で、驚いたことにその期間は【A】とまったく同じ45週です。つまり、ここでは「45週が対等数値」であり、一つに「ドル/円の価格変動というのは、大よそ45週ごとに安値をつけるパターンが繰り返されやすい」ということが想定されることとなるのです。

そこで、次に【C】を見てみると、その期間は50週となりました。実際の投資判断においては、【B】の終点=【C】の起点から45週が経過したあたりから「そろそろ一旦は底入れして反発するのではないか」と考えることになります。

ここで肝心なのは「過去と同様のパターンが繰り返されるとするならば、【C】の終点を起点とする現在進行中の相場は一体、どの時点で底入れして反発へと向かうのか」ということですよね(震災後の安値は特殊事項と考えます)。

ここで言う【C】の終点というのは2010年11月1日のことで、執筆時現在は「あれから42週」が経過しようとしています。仮に、これまでのパターンを踏襲して45―50週程度で次の安値をつけるとするならば、それは2011年の9月上旬から10月上旬あたりということになるのですが、果たして...。今後の行方を興味深く見守って行くこととしましょう。

田嶋 智太郎

経済アナリスト・株式会社アルフィナンツ 代表取締役